顧客との円滑な商談の進め方

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商談を円滑に進め、高い確率でクロージング(契約の締結)までこぎつけるためには、事前準備からクロージングまでの流れを意識した、顧客ごとのコミュニケーションプランの策定が重要です。

商談の成功体験・失敗体験を通じて自分なりの「クロージング率の高い商談の型=必勝パターン」を見つけ、そこから成功要因を抽出しましょう。そうすることで新規顧客に対しても円滑な商談が進めやすくなるはずです。

なお、どのような商談の型をつくるにせよ、顧客とラポール*の状態を作ることは非常に重要です。お互いを心から信頼し合い、顧客から「実はこんな課題を抱えて悩んでいる」「この問題をブレイクスルーできる方法はないだろうか?」などといった相談が持ちかけられるくらいの強い信頼関係を結びましょう。

そのためには、初回の商談までに入念な事前準備をして、ヒアリングをしっかりと行うべきです。

ここでは、ちきゅうメソッドによる商談の進め方を、5つのステップに分けてお話しします。

*ラポール(rapport)……心理学用語。心理療法におけるセラピストとクライアントとの間の関係として望ましいとされる、「相手を信用している」「心が通い合っている」「何でも打ち明けられる」といった信頼関係が成り立っている心の状態。

CONTENTS

1. ――事前準備
2. ――ヒアリング
3. ――企画書の作成
4. ――プレゼンテーション
5. ――クロージング ―「会心のプレゼン」で自己完結しない

1.事前準備

新規顧客との初めての商談に臨む際、事前準備がいかに大切であるかはあらためて説明する必要はないと思います。

顧客にお勧めする商品やサービスの特徴、それを導入することによって得られるベネフィットなど、「自社および自社商品に関する知識と、その魅力をどう伝えるか」といったシナリオを準備して商談に臨む人は多いでしょう。

しかし、ちきゅうメソッドでは、それに加えて「顧客について可能な限り事前調査を行い、顧客が現在推進しているであろう営業戦略や、抱えているであろう戦略上の課題について詳細な仮説を立てる」という方法を提案しています。

顧客はどんな領域でどんなサービスをしっているのか。事業規模や資本、財務状況などはどうか。株主などのステークホルダーはどのような企業・人物か。市場におけるシェアやポジション、競合他社との力関係や特徴はどうか。コーポレートサイトを隅々まで調べ、IR情報は特に注意して、財務諸表などもチェックしておきましょう。上場企業/大企業であれば四季報や信用調査会社のレポートなどにも目を通したいものです。

経営者やキーマンがSNS/ブログ/経済情報誌などで意見を発表していれば、そうしたものから趣味や嗜好・価値観などを読み取ることもできるかもしれません。

こうして得られた企業データを分析し、「この顧客の経営戦略はこうあるべきではないか」「おそらく、このような戦略上の課題を抱えているのではないか。それを解決するためには、自社が提供できるこのようなソリューションが有効ではないか」といった仮説を立てます。

この仮説は、必ずしも的中していなくてはならないというわけではありません。しかし、そう考えるに至ったストーリーには必然性がなくてはなりません。この仮説が精緻かつハイレベルであるほど、後述するヒアリングの内容が濃いものとなります。

また、この段階で、「もしこの仮説が的中していれば、今後どのようなコミュニケーション(商談~交渉)を進め、およそいつ頃にクロージングできるか」といったおおまかなコミュニケーションプランも策定しておきましょう。

2.ヒアリング

初回のヒアリングは、今後の商談が円滑に進められるかどうかを決定付ける非常に重要なものです。

自社の商品をアピールするよりも、まずは顧客の言い分にしっかり耳を傾け、ニーズやウォンツ、抱えている課題などを聞き出す姿勢に徹しましょう。また、そうすることで顧客に「顧客本位の、誠意ある会社だな」と、好感を与えることができるでしょう。

相手の話を聞きながら、事前準備で立てた仮説を提示し、顧客の反応を見ます。仮説が的中していれば、より深い状況を聞き出すことができるでしょうし、的中していなくても、その仮説がハイレベルであれば、「なかなかいい読みだが、実情は違う。実は…」といった、関係者でなくては知らない情報を引き出せるチャンスになるかもしれません。

いずれにせよ、「仮説」を話題の中心とすることで、ヒアリングの流れは「事業戦略の方向性」や「顧客が抱える課題の解決」へと焦点が絞られていきます。

また、「その仮説は違う」といった指摘があったとしても、コミュニケーションを深めていくうちに、「そうか、うちが抱えている本質的な課題はそこにあるのかもしれないな」といった顧客の「気づき」を引き出すことができるかもしれません。

いずれにせよ、ここまで突っ込んだコミュニケーションができれば、近い将来に、顧客の事業戦略に貢献できる、あるいは課題を解決するための「提案=プレゼンテーション」のチャンスが得られることになります。

また、以上のやりとりのなかでしっかりと顧客理解を進めると同時に、今後の戦略の方向性と、戦略のおおまかなタイムスケジュールも聞き出しましょう。特にタイムスケジュールの把握は、最終的なクロージングの際の決め手になるので重要です。

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3.企画書の作成

プレゼンテーションに備えて、企画書を作成します。

ここでは企画書の具体的なつくり方については説明を省きますが、弊社代表・浅井の持論として、「推理小説のような企画書を書け」というアドバイスがありますのでご紹介しておきましょう。

「企画書は、ページをめくるたびに物語がぐいぐい進行し、次のページに何が書かれているのかが気になるような『論理展開が明快で、ストーリー性の高いもの』が好まれる」とのことです。

このような企画書でプレゼンに臨めば、プレゼンに参加していなかった担当者の上司や経営者の手に企画書がわたった場合も、言葉による補足説明がなくとも内容が理解でき、しっかり読まれるというメリットがあるからです。このような企画書を、私たちは「ひとり歩きできる企画書」と呼んでいます。

なお、どのような魅力的なストーリーでも、客観的数値データをともなわない企画書には説得力がありません。プレゼンを「面白い」だけで終わらせず、クロージングに結びつけるためには、説得力のある客観的数値データの記載は必要不可欠です。

4.プレゼンテーション

「ひとり歩きできる企画書」ができていれば、プレゼンテーションの場では、プレゼンテーターは誠実に顧客の課題解決に向けてのストーリーを語ることに専念できるでしょう。

「熱心に売り込みをする」といった自分本位の姿勢が先方に伝わると、企画書の魅力が半減してしまいます。企画書に語らせる形で、「この提案を採用することで、何がどう変わるのか?」を顧客にありありとイメージしていただくことに集中してください。

なお、「この提案を採用しなかった場合の、最悪のシナリオ」についてもありありとイメージしてもらえるよう、導入した場合としなかった場合を明確に対比させるような演出は有効でしょう。

ただし、「最悪のシナリオ」も具体的なデータに基づいた説得力のあるものでなくては、かえって顧客の信頼を損ね、イメージダウンにつながる心配があります。

ちきゅうメソッドでは、「おどしやハッタリの要素のない、誠実・正確・公正なプレゼンテーションこそが最善の説得力を持つ」と考えます。

5.クロージング ―「会心のプレゼン」で自己完結しない

プレゼンテーションを得意とする人には、「会心のプレゼンができた。顧客も大喜びしてくれたから契約間違いなし!」と満足し、その後のクロージングまでのフォローで油断してしまうということが生じがちです。

商談はクロージングが命です。きっちりと契約を締結してこそ、ここまでの苦労も報われるのですし、どんな素晴らしいプレゼンができても「結局クロージングには至らなかった」あるいは「ズルズルとクロージングを引き延ばされているうち、提案そのものがタイミングを逸し、魅力の乏しいものになってしまった」というようなことでは意味がありません。

では、具体的にどうすればプレゼン~クロージングまでの流れを円滑に進めることができるのでしょうか。

ちきゅうメソッドでは、「ヒアリングの際に把握した事業戦略のスケジュールを逆算し、『この戦略に弊社の提案を盛り込み、より高い目標を達成するためには、少なくとも○月からの導入が必要だと思われます。そのためには、契約は○月中には必要かと思われます。クロージングのご決断はこのタイミングまでにお願いいたします』といった論理的な要望を、プレゼンの際に先方に伝える」という手法をお勧めしています。

このような要望の出し方であればプレゼンの内容に対して論理的整合性がありますし、顧客にむやみにクロージングを迫ることなく、クロージングのタイムリミットを意識した商談を円滑に進めていくことができるでしょう。

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