御用聞き営業・提案営業・ソリューション営業

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営業のスタイルとして「御用聞き営業」「商品提案営業」「ソリューション提案営業」ということがよくいわれます。これらは営業に対するスタンスの違いで、単純に「古い・新しい」「劣っている・優れている」というシンプルな二極化で表せるものでもありません。これらのスタイルにはそれぞれの特徴がありますから、業界によって、あるいは商材によって使い分けることができれば、それが一番といえます。

今回は、これら3つの営業スタイルについて考えてみることにしましょう。

CONTENTS

1. ――注文を聞いて回る「御用聞き営業」
2. ――積極的に売り込む「商品提案営業」
3. ――「しくみ」を売り込む「ソリューション営業」
4. ――ソリューション営業を実践するには
5. ――ソリューション営業は深い分析と仮説で成り立つ
6. ――プロが支えるソリューション営業

1.注文を聞いて回る「御用聞き営業」

営業の世界に身を置いていれば、これらのスタイルがどのようなものかすでにご存じとは思いますが、改めて解説しておきましょう。

まず「御用聞き営業」は、その名のとおり伝統的な「御用聞き」スタイルの営業です。テレビドラマやアニメの三河屋さんのように、勝手口から顔を出して「何か御用はございませんか?」と聞いて回って注文を取る。定期的にやってきては注文を取っていくので、現状維持を良しとする顧客にとっては便利な存在です。

ですが、売り手である自社から見ると、受注のすべてを顧客がコントロールしていますので、今以上の発展性がなく、顧客の半歩先を行ってリードしていくということもできません。顧客が「ダイコンとニンジンを持ってこい」と言えば、ただそれに従うだけです。定期的に訪問することでそれなりの受注が取れるという点を「安定性」と評価することもできますが、納期競争や価格競争に引き込まれてしまったら、どうすることもできません。

コモディティ化(どの製品を買っても同じという状態)した商材を扱うには適しているかもしれませんが、逆にそれくらいしか用途がない、というのがこのスタイルです。

2.積極的に売り込む「商品提案営業」

「商品提案営業」は、定番商品の販売に加え、顧客が求めるであろう商品なりサービスなりを、一歩先んじて提案し、販売につなげるスタイルです。御用聞き営業の場合は、注文内容を顧客がコントロールしていましたから、それと比べると積極的に前へ出たスタイルといえます。

顧客から「ダイコンとニンジンを持ってこい」と言われたら「近ごろ寒いですから、鍋なんてどうですか?白菜もお持ちしましょうか?」などと提案できれば、「それもいいなぁ」ということになるかもしれません。さらに「鶏肉もお届けしましょうか?」と提案すれば「えっ、三河屋さん、肉も扱っていたの?」ということにもなるでしょう。

一歩踏み込んで商品やサービスを提案していくことで、売上の拡大につなげることができますし、販売機会の損失を防ぐこともできます。ただし、御用聞き営業を好む顧客や現状維持を良しとする顧客には、「押しつけがましい」と煙たがられるリスクもあります。

3.「しくみ」を売り込む「ソリューション営業」

「ソリューション営業」になると、単に商品を売るだけではなく、顧客の抱えている問題に対して、解決・改善するための手順やしくみを、自社商品とセットにして売るというスタイルになります。

顧客から「ウチの子が野菜嫌いで困っている」という悩みを聞いた三河屋さんが、野菜嫌いの人でもおいしく食べられる料理のレシピを見つけ、「これなら、きっとおいしく野菜が食べられますよ」と、食材といっしょに顧客に届けたらどうでしょう。

そして実際に、その料理で子供の野菜嫌いを克服できたとしたら、顧客にとって三河屋さんは、厚い信頼を寄せる「なくてはならないパートナー」になるのではないでしょうか。そうした関係性から広がる可能性は、商品提案型営業の比ではありません。

もちろん、こうしたスタイルを取るためには、日頃から顧客との接点を活かして情報を収集・蓄積し、分析するという作業が必要です。ですが、その作業を経たならば、顧客の利益となる提案、時に顧客自身でさえも気付いていない問題を解決できる提案を行えます。実証された事実やデータを添えれば、なお良いでしょう。

こうした行動は、顧客の利益になるだけではなく、顧客との信頼関係を高め、より強固なパートナーシップを築くという、あなた自身の利益となって返ってくるのです。

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4.ソリューション営業を実践するには

ソリューション営業は、顧客情報がなければ成り立ちません。ですから、まずは顧客とのコミュニケーションを図ることです。「見込み顧客」の段階でもかまいません。顧客との接点をできるだけ増やし、そこから得られる情報を蓄積していくことです。それを分析することで、顧客の心理状態や現在の状況がわかります。抱えている課題や問題も見えてくるでしょう。

こうした「課題や問題」については、顧客自身が気付いていないというケースが意外とあります。自分自身を客観的に知ることはなかなか難しいことですが、これは企業においてもいえることです。こうした点を気付かせるというのも、ソリューション営業の大事なポイントです。そして顧客でさえ気付いていない課題や問題を、自社の製品・サービスを使ってどのように解決していくか、そのノウハウまでもセットで提供するのです。

こうしたコミュニケーションを行っていくことで、双方の関係性は確実に深まっていきます。やがては顧客にとって、あなたの会社は「ビジネスを進める上で欠かせないパートナー」となるでしょう。

ソリューション営業のメリットである「売上の拡大」は、通過点に過ぎません。むしろ、顧客との関係を深め、良き相談相手となり、継続的なパートナーとなることが目標なのです。

5.ソリューション営業は深い分析と仮説で成り立つ

顧客情報を分析して課題や問題を洗い出し、それに対する解決策を提供する。それがソリューション営業の外見上の形ですが、この作業はもちろん言葉で言うほど簡単ではありません。

まず情報の鮮度と確度が重要です。行動計画を立てるための基礎となる情報が古く、しかも確度が低くては、見当違いの提案をすることになってしまいます。そうしたことのないよう、常に顧客情報を管理しておくことが肝要です。また、その時々に得られる断片的な情報ばかりでなく、顧客の理念やポリシー、向かっている方向、今現在のミッションなどを把握しておくことも必要です。これらは直接的に引き出したり、IRを詳しくチェックしたりすることで得られる情報ですから、そうした手間を惜しんではならないでしょう。

それを分析するときにも、さまざまな角度から掘り下げてみることがポイントです。一面的な見方にとらわれてしまうと、問題の本質を見誤ったまま、あらぬ方向に進んでいくことにもなりかねないからです。こうして得られた情報を検証したら、「この顧客は、こうした問題に直面しているのではないか」といった仮説を立てて、それを自社がどのように解決に導いていけるかをさらに検討します。つまりは、仮説力が必要になってくるのです。

6.プロが支えるソリューション営業

どのような物であれサービスであれ、商品を売り込む営業マンはその商品にかけてはプロ中のプロです。誰よりもその商品に詳しく、その商品を知っています。長所も短所も知っていますし、どんな顧客にそれが向いているかも知っています。その商品が使われる業界の事情や動静にも敏感で、競合商品、競合他社の動きも把握しています。こうした下地があるからこそ、ソリューション営業が可能になるのです。

あなたが持っている商品を、あなたの顧客は知っています。使い方、扱い方も知っています。ですが、「その商品を導入することで、社内の課題や問題を解決することができる」。そのような効果を得られることなど、顧客は想像もしていないでしょう。

そこに気付かせ、提案するのがソリューション営業です。ですからこのスタイルを実践するなら、営業マンは商品に関して高い見識を備えておく必要があります。

顧客以上の知識と見識を持ち、顧客自身でさえも気付いていない課題や問題の解決策を提示できる仮説力を備えている。それが理想の姿でしょう。

ソリューション営業は顧客と接触する場の最前線において、双方の関係性をより強固にする方法でもあります。それは、売上の拡大とそれに伴う営業力の底上げ、顧客との信頼関係の向上による継続顧客化など、多くの恩恵をもたらしてくれるでしょう。

ソリューション営業を行える営業マンを育てていくということは、そのまま営業力アップにもつながっていくということでもあるのです。

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