【業界別】AIビジネスの活用事例10選!導入メリットや注意点も解説

近年、AIをビジネスに活用して業務効率化を図る企業が増えてきています。一方で、AIをどのようにビジネスに活用していいかわからず、導入に踏み切れない企業も多いでしょう。
本記事では、AIビジネスの活用事例10選を紹介しています。導入メリットや注意点、導入を成功させるために押さえておくべきポイントも解説しています。AIビジネスの導入を検討している企業は本記事を参考にして、自社への導入を検討してください。
AIビジネスとは?
AIビジネスとは、企業がAI(人工知能)をビジネスに活用することです。AIは機械学習や深層学習(ディープラーニング)の技術を用い、大量のデータをもとにAIが自ら学習をして高度な判断や効率化を行います。
AIをビジネスに活用すると、従来は人の手で行われていた事務作業やデータ分析等を自動化・効率化できるため、注目を浴びています。AIビジネスの活用は、業界や職種を問わずさまざまな企業で取り組まれているトレンドのひとつです。
AIをビジネスに活用できる範囲
AIを活用できる具体的な例は以下のとおりです。
- メールや議事録などの文書作成
- データの分析と予測
- チャットボットによるカスタマーサポートの自動化
- 予防保全と異常検知
- プログラミングコードの開発業務
- プロセスの効率化と自動化
- 顧客体験の向上
活用するAIによって得意な分野は異なるため、自社で解決したい課題を抽出したうえで最適なAIツールを選定しましょう。
また、近年では業務効率化を促進するツールの一つとして、AIエージェントも注目されています。AIエージェントはAIが状況を判断して自律的に業務やタスクを行う機能があります。AIエージェントについては以下の記事で解説しているので、あわせてご確認ください。
AIビジネスの活用事例10選
AIビジネスを上手に活用するには、実際の活用事例を参考にすると効率的です。以下に各企業で活用している事例10選を紹介します。
- 江崎グリコ株式会社
- パナソニックコネクト株式会社
- LINEヤフー株式会社
- ヤマト運輸株式会社
- 株式会社JALエンジニアリング
- 株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
- アナウト株式会社
- KDDI株式会社
- 農研機構
- 株式会社みずほフィナンシャルグループ
各企業の活用事例を参考に、自社への導入検討を進めましょう。
1. 【製造業】AIチャットボットの導入でバックオフィスを効率化|江崎グリコ株式会社
江崎グリコ株式会社では社内ポータルサイトが複数あり、情報の検索がしにくい状況にあります。情報を探し出すのではなく、担当者に直接連絡を取って情報を教えてもらうことが一般的になっているため、業務効率の悪さが同社の課題の一つです。
そこで同社では、効率化を目的にAIチャットボットの導入を実施しています。IT知識が十分でないバックオフィス社員でも有効活用ができ、年間1万3,000件以上発生していた問い合わせのうち約30%を削減しました。また、担当者に問い合わせをせずに自己解決ができるようになったため、自己解決型の社内文化の形成にも貢献している事例です。
参照:Allganize、Glicoグループのバックオフィス効率化をAIチャットボット「Alli」で支援 | Allganize Japan株式会社のプレスリリース
2. 【IT業】生成AIの導入により労働時間を削減|パナソニックコネクト株式会社
パナソニックコネクト株式会社では、生成AIを活用した社内アシスタントサービスを全社員に導入し、業務効率化に成功しています。ChatGPTをベースに自社開発したAIを活用し、1回あたり平均20分を削減しています。さらに、AIを導入して1年で約18.6万時間の削減に成功しているなど、業務効率化の効果は高いです。
本AIは検索エンジン用途でしたが、戦略策定や商品企画など生産性向上に直結する用途でも活用されるようになり、社員のITスキル向上にも寄与しています。
参照:パナソニック コネクト 生成AI導入1年の実績と今後の活用構想 | 技術・研究開発 | 技術・研究開発 | プレスリリース
3. 【IT業】ソフトウェア開発にかかるコーディング時間を削減|LINEヤフー株式会社
LINEヤフー株式会社では、ソフトウェア開発業務に関わるエンジニア向けにAIプログラマーを導入しています。導入によってひとりあたりのコーディング時間を1〜2時間削減でき、業務効率化につなげた事例です。
AIの導入に際し、利用者のe-ラーニング受講を必須事項としており、AIを取り扱ううえで必要なリスク意識の向上にも取り組んでいます。さらに、生成AIの活用に関する「生成AI利用ガイドライン」も策定しており、リスク管理などにも積極的に力を入れています。
参照:LINEヤフーの全エンジニア約7000名を対象にAIペアプログラマー「GitHub Copilot for Business」の導入を開始
4. 【物流業】AIによる配送業務量予測で効率的な配送を実現|ヤマト運輸株式会社
ヤマト運輸株式会社では、AIとビッグデータを活用した荷物取扱い量の予測システムを開発し、物流現場の効率化を行っています。活用したビッグデータには「販売」「物流」「商品」「需要トレンド」が含まれています。
ビッグデータを活用してAIで分析すると、顧客ごとの配送業務量の予測が可能です。AIが学習を続けて精度を向上させるため、配車計画の効率化にもつながっています。
同社はAIシステムの導入で配送生産性を20%向上しただけではなく、走行距離とCO2排出量の削減も達成しています。
参照:ビッグデータ・AIを活用した配送業務量予測および適正配車のシステム導入について― アルフレッサとヤマト運輸によるヘルスケア商品の共同配送スキーム構築の第一弾 ―
5. 【航空業】AIを活用した予測分析による遅延ゼロ目標|株式会社JALエンジニアリング
株式会社JALエンジニアリングでは、ビッグデータ分析を活用した航空機故障予測に取り組んでいます。2019年にビッグデータ分析基盤としてdotDataを導入し、飛行データや整備データの分析により不具合の予測ができるようになっています。
従来は整備士の経験則で予測していましたが、AIが予測するデータも活用して航空機の不具合による遅延や欠航ゼロの実現が目的です。故障の予兆を検知できる予測モデルの作成も進めており、現在では約100種類作成しています。
参照:Japan Airlines Uses Predictive Analytics to Strive for Zero Delays
6. 【小売業】AIを活用して発注作業時間を短縮|株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンでは、2023年からAIを発注システムで活用しています。加工食品や雑貨など、商品在庫が設定数を下回ると自動で発注数を計算して提案してくれるシステムです。
天候や曜日など、過去のデータをもとにAIが需要予測を立てるため、品切れ防止に寄与しています。さらに、発注にかかる時間を4割削減しているなど、効率化も達成しています。
参照:店内作業効率化の取り組み|サステナビリティレポート/セブン - イレブンのサステナビリティ
7. 【医療業】AI視覚支援手術による安全で精密な手術をサポート|アナウト株式会社
アナウト株式会社では、AIを活用した国内で初めてのAI視覚支援手術を実施しています。AI視覚支援プログラム「Eureka α」を用いて、内視鏡映像の切除の目印になる組織をリアルタイムで表示して、安全かつ精密な手術のサポートに役立てています。
AIの活用による、執刀医の負担軽減と手術精度の向上が期待できる事例です。
参照:AI視覚支援手術、国内で初めて*実施 | アナウト株式会社のプレスリリース
8. 【情報通信業】幅広い視点でさまざまな業務効率化を達成|KDDI株式会社
KDDI株式会社では、自社で生成AIを開発し、グループ全体で1万人以上の社員が自由に使える状態を作り出しています。同社がAIを活用して達成した効率化の一例は以下のとおりです。
- 1日かかっていたプログラミングを2〜3週間で終わらせた
- 自由記述方式のアンケート結果を効率よくまとめた
- 面接の日程調整に生成AIを活用した
同社では生成AIを活用した業務効率化の社内コンテストを実施し、生成AIの使い方の幅を広げる工夫をしてAIの活用範囲を広げています。
参照:KDDIが実践する「生成AI活用」の現在地と未来 ビジネス展開を見据え、社内プロジェクトを推進|be CONNECTED.|法人のお客さま
9. 【農業】農業特化型生成AIを活用した正答率の向上|農研機構
農研機構では、農業知識を学習させた農業特化型生成AIを開発し、試験運用を実施しています。全国の農業機関から集めた栽培技術や専門的な栽培知識を用いて学習しているAIです。本AIは汎用的な生成AIと比べ、専門分野に関する正答率の40%向上に成功しています。
三重県では本生成AIの試験運用が行われており、普及指導員の調査時間を3割削減させることにも成功しています。
参照:(研究成果) 国内初の農業特化型生成AIを開発 | プレスリリース・広報
10. 【金融業】AIチャットボットを活用した法人営業の効率化|株式会社みずほフィナンシャルグループ
株式会社みずほフィナンシャルグループでは、テキスト生成AIアシスタント「Wis Chat」を導入しています。新人教育資料や社内ナレッジなどの内部データだけでなく、特定業界に関する企業データの学習により、金融業界に関する知識に特化したAIの構築に成功しています。
今後は法人営業の提案業務の効率化・高速化を目指し、AIによる顧客データの分析や最適な提案資料作成など、営業事務のさらなる効率化が課題です。
参照:〈みずほ〉とNTTデータグループ、生成AI活用に向けた共同研究契約を締結 ―NTT版LLM「tsuzumi®」のチューニングを通じた 「〈みずほ〉特化型モデル」の構築―
一方で営業の業務効率化には、AIだけでなくSFAやCRMなどの営業管理ツールの導入もおすすめです。
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AIビジネスを導入するメリット
AIビジネスの導入で得られる主なメリットを以下で解説します。
- 業務効率化による生産性の向上
- 人材不足の解消
- コスト削減
- ヒューマンエラーの防止
- 顧客満足度の向上
導入を検討するうえでメリットの把握は重要なので、押さえておきましょう。
1. 業務効率化による生産性の向上
AIビジネスを導入すると定型的な事務作業や分析業務をAIに代替させられるため、大幅な業務効率化を達成できます。定型業務をAIに任せると、従業員はより重要度の高いコア業務に注力できるため、生産性の向上にもつながります。
近年ではデジタル化の進行に伴い大量のデータを扱う機会が増えているため、AIによる業務効率化はますます欠かせない要素になるでしょう。
2. 人材不足の解消
従来は人が担当していた業務をAIに置き換えられるため、人材不足の解消効果も見込めます。AIを活用すると業務効率化ができるため、定型作業に割いていた工数の削減も達成できます。
今後ますます高齢化社会が進行し、人材不足が加速する傾向にあるため、AIの導入による効率化や人材不足の解消が大きなトレンドです。
3. コスト削減
AIビジネスを導入すると、人件費や人材育成にかかるコストの削減が見込めます。営業時間外でも開いていたカスタマーサポートの時間を短縮できたり、新たな人材を確保せずに済んだりするなどが一例です。
AIの活用により品質も担保できるため、顧客クレームにかかるコストの削減効果も得られます。ただし、AIを導入する際は初期コストがかかるため、導入コストを回収できるかを試算しておきましょう。
4. ヒューマンエラーの防止
人が作業をする場合は、個人の能力差や疲労による集中力の低下など、さまざまな要因によってヒューマンエラーが発生してしまいます。どんなに優秀な人であっても、ヒューマンエラーの根絶は困難な課題です。
一方でAIを活用すると、事前にプログラムされた作業を正確に実行できるため、ヒューマンエラーを抑制できます。さらにAIであれば長時間作業による集中力の低下も発生しないため、常に一定の品質を保てるメリットも得られます。
5. 顧客満足度の向上
AIは24時間365日いつでも稼働できるため、顧客からの緊急の問い合わせにも即座に対応できます。そのため、サポートのスピードアップを達成できます。
また、AIに顧客情報や過去の行動履歴を学習させると、顧客が求める真のニーズを察知できる可能性もあり、先回りして要望の提案が可能です。顧客目線では欲しいと思ったタイミングで最適なサービスの提案を受けられるため、顧客満足度の向上につながります。
AIビジネスを導入する際の注意点と対策
AIビジネスを導入する際に押さえておくべき注意点を以下で解説します。
- セキュリティとプライバシーリスク
- AIが生成した内容の精査
- 社内の人材強化
注意点への対策もあわせて解説しているので、内容を確認して失敗を防ぎましょう。
1. セキュリティとプライバシーリスク
AIは個人情報や社外秘の機密情報を扱うため、ハッキングや情報漏洩に関する対策が欠かせません。個人情報保護法などの法律に抵触すると企業の信用低下につながり、業績の悪化や業務停止、最悪の場合は倒産の危機につながる可能性もあります。
AIを導入するうえで実施できる具体的なセキュリティとプライバシーへの対策は以下のとおりです。
- データの暗号化
- アクセス権限の最適化
- 入力する情報に関するルールの作成
適切に対策を講じると、セキュリティとプライバシーのリスクに対処できます。
2. AIが生成した内容の精査
AIが生成した情報には、ハルシネーションリスクが潜んでいます。ハルシネーションとは誤った情報を正確な情報として出力してしまうことを指します。ハルシネーションリスクだけでなく、著作権を侵害した情報や倫理的に問題のある情報にも注意が必要です。
学習させているデータ量が不足していたり古かったりする場合も、誤った情報を生成する可能性があります。AIが生成した情報を精査せずに活用すると、さまざまなリスクにつながるため、内容の精査は欠かせません。
対策として、データの品質を向上させたり人の目で内容をチェックするプロセスを組み込んだりすると、AIが出力する情報を効果的に活用できるでしょう。
3. 社内の人材強化
AIをビジネスで活用するには、一定の専門知識やリテラシーが必要です。特に導入時点はハードルが高いため、専門知識を有する人材が不足していると導入が困難になります。
さらに、導入後の取扱いにも一定のリテラシーは必要になるため、社内の教育が重要です。AIを適切に活用するためには、以下の対策がおすすめです。
- 社内教育を実施する
- 専門知識を有する人材を採用する
- 外部の専門家の協力を得る
AIに特化した人材の確保や社内のリテラシーを向上させると、AIをビジネスへと効果的に活用できます。
活用事例をもとにAIビジネスを取り入れよう
AIビジネスの導入は、変化の激しい社会で競争力を保つためには欠かせない重要なポイントです。AIの導入を成功させるには、実際の活用事例を参考にしたうえで自社における目的の設定や適切なデータの準備が欠かせません。本記事の活用事例を参考に、自社の業務にAIを導入し、業務効率化を達成してビジネスの競争力を強化してください。
ビジネスの競争力強化には、AIだけでなくSFAやCRMなどの営業管理ツールの導入もおすすめです。
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