AI搭載型のCRMは従来のCRMと比べて、高度な分析・予測が可能です。AIが過去の購入実績や行動履歴、商談内容など、顧客データを分析し、顧客ニーズや購買意欲の高さを可視化するためです。CRMに蓄積したデータ量が多いほど、AIが行う分析や予測の精度が高まります。
本記事では、AI搭載型のCRMを導入するメリットやおすすめのCRMなどに関して紹介します。提案力向上や営業活動の効率化に取り組んでいる企業は、ぜひ最後までご覧ください。
AI搭載型CRMは従来のCRMと比べて、自動化できる範囲の業務が広いです。従来型CRMは、データ収集やグラフ化などの作業には対応しています。しかし、学習内容をもとにした分析や予測、提案までは対応していません。
一方AI搭載型CRMの場合、過去の販売実績や商談履歴、採用商品など、大量の顧客情報を学習し、学習内容から顧客の関心やニーズなどを自動で分析します。分析結果はリアルタイムの情報にもとづいており、従業員がシステム上のデータを手作業で更新する必要はありません。
また、CRM上に蓄積したデータ量が多いほど、顧客の特徴や売上予測、商品を提案すべきタイミングなど、予測や提案の精度が高まります。AI搭載型CRMの能力を最大限引き出すには、顧客との商談や問い合わせを1件ずつ丁寧に対応し、多くの情報を引き出すことが重要です。
AI搭載型CRMに搭載されている主な機能は以下の表の通りです。
主な機能 | 詳細 |
顧客情報の自動収集 | 過去の商談履歴売上実績採用商品問い合わせの有無 |
行動予測と提案 | メール開封率を分析し、送信日時を提案通話履歴を分析し、通話日時を提案営業活動の結果を予測 |
予測と分析 | 営業活動の結果を予測個人や部署単位での売上予測案件の優先度を分析 |
自動化 | 顧客ごとに異なる内容のメールを作成アンケートの設問を作成ランディングページの作成ブログ記事の作成 |
CRMによってはこれらに加えて、おすすめ商品の提案やチャットボットによる問い合わせ対応などの機能も搭載しています。
多機能型のCRMを導入すると、多くの作業を効率化できる反面、多額の初期費用や月額費用を支払う可能性が生じます。予算内で機能性に優れたAI搭載型CRMを導入するには、必要な機能の優先順位を付けておきましょう。
>>CRMの基本機能一覧|主要4社の比較やSFAとの違い、活用するメリットを解説
AI搭載型CRMを導入するメリットは以下の4つです。
内容を詳しく見ていきましょう。
>>CRMを導入するメリットは?得られる効果やデメリット、成功事例を紹介
顧客ロイヤルティは、顧客が自社商品・ブランドに抱く愛着や信頼度です。顧客ロイヤルティが高いほど、顧客は自社商品の購入に特別な価値を見出しており、他社から魅力的な商品が登場しても乗り換えません。
AI搭載型CRMは過去の販売実績や商談履歴、採用商品など、膨大な顧客情報を分析し、分析結果から顧客ニーズを把握できる点が特徴です。
さまざまなデータを分析することで、顧客が求めている情報や商品などを正確に把握できます。顧客ニーズを反映した商品を提案することで顧客ロイヤルティが高まり、リピート率や購入単価の向上につながるでしょう。
AI搭載型CRMはシステム上に蓄積した情報をもとに、売上や顧客の行動傾向、案件の優先度など、さまざまな内容を分析します。
データ収集から予測まで、一連の作業をAIに任せられるため、営業担当者が作業をする必要はありません。工数のかかる業務の自動化によって、営業活動の効率化を図れます。
また、CRMによって商談の議事録や日報、顧客へのメール作成など、ルーティンワークを自動化することが可能です。AIにルーティンワークを任せると、提案資料の作成や営業戦略の見直しなど、売上に直結する業務に多くの時間を割けるようになります。
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AI搭載型CRMを導入すると、スコアリングによって顧客の購買意欲を可視化できます。スコアリングとは、自社サイトへのアクセス頻度や資料請求の有無など、購買に直結する行動ごとに点数を付け、購買意欲の高さを可視化する作業です。
スコアリングによって、売上拡大が見込める既存顧客を把握でき、客観的な証拠にもとづいた営業戦略を立てられます。
また、顧客行動の分析とスコアリングは、既存顧客だけでなく見込み顧客にも適用可能です。購買意欲の高い見込み顧客の可視化によって、無駄な行動を減らしつつ成約率を高められます。
既存のCRMやSFAにAIを実装する場合、プログラミング言語の知識やコーディングスキルが必要です。自社に経験豊富なエンジニアがいない限り、既存システムにAIを実装するのは難しいでしょう。
AI搭載型CRMの場合、専門知識がなくても導入・運用できるように設計されています。AI搭載型CRMの導入にともない、新たにエンジニアを採用する必要はありません。
AIやプログラミングに精通した人材が不在の企業でも、スムーズに導入・運用を進められます。
AI搭載型CRMを導入する際は、以下の2点に注意しましょう。
AIの予測・分析精度はデータの質と量に依存するため、営業担当者が顧客と良質な商談を重ねることが重要です。
AIはCRM上に蓄積された販売実績や商談内容、Web上での行動履歴など、過去のデータを使って分析や予測、提案を行います。データ量が多いほど、予測や分析の精度が高まるため、顧客に関する情報を多く集める必要があります。
ただし、収集した顧客データの質が高くなければ、顧客ニーズに合致した提案や高精度な売上予測は望めません。AIの分析・予測の精度を高めるには、営業担当者が普段の商談から顧客と丁寧にコミュニケーションを重ね、有益な情報を得ることが大切です。
AI搭載型のCRMは従来型のCRMと比べて、さまざまなデータに関する高度な分析・予測が望めます。しかし、AIの分析結果を必要以上に過信するのは危険です。AIが示す顧客ニーズや購買意欲の高さは、過去のデータをもとに導き出したひとつの意見に過ぎません。
購買意欲の高さや商品に興味を示す理由など、結論に至った根拠はAI自身では示せないため、営業担当者が考える必要があります。
また、AIが示す結果には、人間の感情や倫理観などは考慮されていません。取引年数の長さや担当者同士の信頼関係なども考慮されておらず、必ずしも人間が望む回答を得られるとは限らないでしょう。
AI搭載型CRMを選定する際のポイントは以下の5つです。
これらを押さえておくと、自社の条件に見合ったAI搭載型CRMを見つけられる可能性が高まります。
AI搭載型CRMを選定する前に、解決したい課題の優先順位を付けておきましょう。
AIの搭載有無に限らず、CRMは製品ごとに搭載機能が異なります。導入目的が曖昧なままツール選定に臨むと、「必要な機能が足りない」「不要な機能ばかり」など、導入後にミスマッチを招く可能性が高まります。
ミスマッチを避けるには、「顧客情報収集の効率化」「売上予測の精度向上」など、解決したい課題を社内で共有しておくことが重要です。導入目的が明確になると、CRMに求める機能が自然と絞られ、自社に合う製品を選べる確率が高まります。
従業員が操作方法に戸惑わないよう、操作画面がシンプルな設計のCRMを選ぶことが重要です。スコアリングや売上予測など、一つひとつの作業に時間がかかると、かえって作業効率が低下します。
操作性が低いと、従業員がCRMを利用するモチベーションも低下し、費用に見合った効果が得られません。ミスマッチによる無駄な支出を避けるには、無料トライアルを活用するのが有効です。
無料トライアルでは、有料プランへの移行を前提に一定期間CRMの機能を無料で利用できます。無料トライアルの利用によって、費用をかけずに操作性や機能性を確認できます。なお、無料トライアルしたからといって、必ずしも有料プランを契約する必要はありません。
>>「GENIEE SFA/CRM」の無料トライアルはこちら
SFAやMAなどと連携できると、商談の進捗状況や見込み顧客の情報など、営業活動に関する情報をスムーズに取得できます。また、システム間の連携によって入力内容が自動で反映されるため、同じ内容を何度も入力する必要はありません。
業務効率やユーザビリティを高めるため、AI搭載型CRMを選定する際は、既存システムとの連携可否も確認しましょう。
CRMには顧客の企業名や担当者の連絡先、販売実績など、多くの機密情報が保存されています。セキュリティレベルが低いCRMを選んだ場合、サイバー攻撃や内部不正によって機密情報の流出を招く可能性が高まります。
仮に情報流出がメディアに報道された場合、顧客離れやイメージダウンは避けられないでしょう。情報流出を避けるにはデータの暗号化や脆弱性診断など、CRMを選定する際にセキュリティ対策の充実度を確認することが不可欠です。
>>セキュリティが充実したCRM7選|重要性や導入前の確認項目を紹介
AI搭載型CRMを導入するうえで、サポート体制の充実度も重要なポイントのひとつです。AIの学習方法やデータ分析の仕方など、導入後に操作方法に関して疑問点が生じるケースも珍しくありません。
電話やメール、Web会議など、担当者とさまざまな手段で連絡が取れると、トラブルが起きても早期解決が望めます。
また、FAQやマニュアルが充実している場合、必要な情報を効率的に集められるため、問い合わせの手間を省けます。
多くのユーザーに利用されているAI搭載型CRMは以下の5つです。
CRM名 | 月額料金(税抜) |
GENIEE SFA/CRM | スタンダード:3,480円/ユーザー プロ:5,480円/ユーザー エンタープライズ:9,800円/ユーザー |
Sales Cloud | Starter:3,000円/ユーザー Pro Suite:12,000円/ユーザー Enterprise:19,800円/ユーザー Unlimited:39,600円/ユーザー Einstein 1 Sales:60,000円/ユーザー |
Mazrica Sales | Starter:5,500円/ユーザー Growth:11,000円/ユーザー Enterprise:16,500円/ユーザー |
Zoho CRM | スタンダード:1,680円/ユーザー プロフェッショナル:2,760円/ユーザー エンタープライズ:4,800円/ユーザー アルティメット:6,240円/ユーザー |
Freshsales Suite | FREE:0円 GROWTH:1,400円/ユーザー PRO:5,700円/ユーザー ENTERPRISE:8,600円/ユーザー |
各ツールの特徴を順番に解説します。
月額料金(税抜) | スタンダード:3,480円/ユーザー プロ:5,480円/ユーザー エンタープライズ:9,800円/ユーザー |
機能 | 対面商談の議事録作成を自動化 オンライン商談の議事録作成を自動化 商談の自動録音/録画MAとの連携など |
運営会社 | 株式会社ジーニー |
公式サイト | https://chikyu.net/ |
『GENIEE SFA/CRM』は、国産のCRM・SFAとして初めて高性能AIを標準搭載している点が特徴です。AI
の実装によって、商談議事録の作成を自動化できます。
スマートフォンアプリを使って商談の様子を録音・録画しておけば、記録したデータを使ってAIが文字起こしや要約を行います。商談内容がCRM上に自動で記録されるため、営業担当者が手作業で活動履歴を入力する必要はありません。
また、株式会社ジーニーはJAPAN AI株式会社との連携によって、オンライン会議でもオフラインでも商談議事録を自動で作成できる体制を整えました。Google MeetやZoomなどを使用した場合も、商談内容の入力や報告業務をAIに任せられます。
さらに、『GENIEE SFA/CRM』はMAとの連携にも対応しており、見込み顧客の管理やマーケティング業務を効率化できます。
>>「GENIEE SFA/CRM」の無料トライアルはこちら
月額料金(税抜) | Starter:3,000円/ユーザー Pro Suite:12,000円/ユーザー Enterprise:19,800円/ユーザー Unlimited:39,600円/ユーザー Einstein 1 Sales:60,000円/ユーザー |
機能 | オンライン会議の自動録音 商談議事録の作成を自動化 会話内容の自動分析 案件の優先順位を可視化など |
運営会社 | 株式会社セールスフォース・ジャパン |
公式サイト | https://www.salesforce.com/jp/sales/artificial-intelligence/ |
『Sales Cloud』は、株式会社セールスフォース・ジャパンが運営するAI搭載型のCRMです。AIがオンライン会議の記録と文字起こし、要約を行うため、営業担当者が議事録を作成する必要はありません。
AIが記録した通話内容から競合の有無や希望価格、提案内容への関心度などを分析するため、顧客ニーズや購買意欲の高さも可視化できます。営業担当者はAIの分析結果をもとに、次回の提案内容を考えられるため、成約率が高まるでしょう。
また、商談の進捗状況や受注確率、商談履歴など、CRM上のデータをもとに優先度の高い案件を提示するため、重要案件に多くの時間を割ける体制が整います。
『Sales Cloud』には料金プランが5種類用意されていますが、AI関連の機能を利用するには、Unlimitedプラン以上の選択が必要です。
>>Salesforceの導入費用はいくら?プラン別の価格表や主要CRMとの料金比較
月額料金(税抜) | Starter:5,500円/ユーザー Growth:11,000円/ユーザー Enterprise:16,500円/ユーザー |
機能 | 案件のリスク要因を可視化 画像の文字情報を自動抽出 顧客管理行動管理など |
運営会社 | 株式会社マツリカ |
公式サイト | https://product-senses.mazrica.com/ |
『Mazrica Sales』は、株式会社マツリカが提供するAI搭載型のCRMです。AIが受注確率や受注金額、受注予定時期など、案件に関する情報を過去の類似案件と比較し、リスク要因を可視化します。
受注の障壁となる要因を早期に把握できるため、成約率の向上が期待できます。また、スマートフォンで撮影した画像からAIが文字情報を自動で抽出・登録するため、営業担当者がシステム上に名刺データを入力する必要はありません。
さらに、CRM上に保存したデータはすべて暗号化されており、第三者からの識別は困難な状況です。情報流出のリスクを大幅に軽減できるでしょう。
月額料金(税抜) | スタンダード:1,680円/ユーザー プロフェッショナル:2,760円/ユーザー エンタープライズ:4,800円/ユーザー アルティメット:6,240円/ユーザー |
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機能 | アプローチのタイミングを提示 見込み顧客の行動や関心を分析 おすすめ商品の提示 リピート購入の予測など |
運営会社 | ゾーホージャパン株式会社 |
公式サイト | https://www.zoho.com/jp/crm/ |
『Zoho CRM』は、AIがメールの開封率や過去の通話履歴を分析し、メールの送信や通話に最適なタイミングを提示するため、顧客とスムーズにコミュニケーションが取れます。
また、見込み顧客の検索履歴や商談内容、購入実績などを分析し、顧客の関心や行動傾向を可視化します。分析結果をもとに、AIが顧客の好みに合ったおすすめの商品を提示するため、高い成約率が期待できるでしょう。
さらに、見込み顧客の関心や行動傾向が既存顧客と似ている場合は、提案商品が既存顧客の購入パターンとともに提示されます。
月額料金(税抜) | FREE:0円 GROWTH:1,400円/ユーザー PRO:5,700円/ユーザー ENTERPRISE:8,600円/ユーザー |
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機能 | 顧客管理 商談の進捗状況管理 Webフォームの作成 見積書と請求書の作成など |
運営会社 | OrangeOne株式会社 |
公式サイト | https://orangeone.jp/freshworks/sales/ |
『Freshsales Suite』は、OrangeOne株式会社が提供するAI搭載型CRMです。見込み顧客の分析や関係強化を得意とするCRMです。
AIが顧客との通話内容とWeb上での行動履歴を記録し、顧客の関心や行動傾向を分析します。分析結果をもとにスコアリングを実施し、自社商品への関心や購買意欲の高さを可視化する流れです。
『Freshsales Suite』の導入によって、購買意欲が高い見込み顧客に多くの時間を割けるようになり、営業活動の効率化と新規顧客獲得を両立できます。
なお、『Freshsales Suite』には4種類の料金プランが用意されており、AI機能の利用には、PROプラン以上を選ばなければなりません。
AI搭載型CRMを導入すると、顧客が求めている情報・商品を把握できます。顧客ニーズを反映した提案によって、成約率やリピート率、購入単価が高まります。
ただし、AIの分析結果からは、顧客の購買意欲の高さや該当の商品に関心をよせる理由などは分析できません。また、分析結果に人間の感情や倫理観は考慮されていない点も、理解しておく必要があります。
『GENIEE SFA/CRM』は、定着率99%を誇るAI搭載型CRMです。対面商談とオンライン商談、どちらの形式でも商談の議事録作成やCRMへの入力業務を自動化できます。
操作画面は情報が整理されたシンプルな設計です。直感的に操作ができるため、操作方法に悩まされる心配は少ないでしょう。
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