変化が激しい現代のビジネス環境では、継続的な成長が困難になりつつあります。そこで、顧客との関係を深めるCRM戦略が、重要になります。
CRM戦略は、顧客情報を活用し、個々のニーズに応じたアプローチを可能にすることで、顧客満足度の向上やLTV(顧客生涯価値)の最大化を目指すものです。
本記事では、CRM戦略のメリットやデメリット、効果的な策定手順について詳しく解説します。CRM戦略の導入を検討している企業の担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
CRM(Customer Relationship Management)は、日本語で顧客関係管理を指します。CRM戦略とは、戦略的に顧客との関係性を深めて長期的な信頼を築き、安定した売上と企業成長を目指す取り組みです。
CRM戦略は、単なる顧客情報の管理を行うのではありません。顧客の行動やニーズを分析し、個別に最適化された体験を提供します。こうしたアプローチによって、顧客満足度とロイヤルティを向上させ、継続的な売上向上や、持続可能なビジネスモデルの構築を実現させます。
CRM戦略と似たような言葉にCRMマーケティングがあります。両者は視点と目的に違いがあります。
名称 | 内容 |
CRM戦略 | 企業全体の視点から顧客との関係構築を通じて、経営目標の達成を目指す包括的な計画 |
CRMマーケティング | 顧客の視点に立ち、個々のニーズや行動に基づいたマーケティング施策を展開する手法 |
CRM戦略が全体的な方向性を示すのに対し、CRMマーケティングは戦略を具体的な施策として実行する役割を担っています。
両者の違いを理解し、自社が取り組もうとしているのはどちらかを精査し、効果的な戦略立案や施策の実行をしていきましょう。
No.18「CRM マーケティング」
CRM戦略の代表的なメリットとして、以下の4つがあります。
順番に解説を進めていきます。
CRM戦略を導入すれば、顧客のニーズに合わせた商品やサービスを提案できます。個々のニーズにマッチした提案は、顧客側に「自分の要望が理解されている」と感じさせ、満足度の向上が期待できるでしょう。
CRM戦略では、満足度の高い提案のために、顧客の購買履歴や行動パターンの分析を行います。ここで導き出されるパーソナライズされた提案は、満足度だけでなく、自然と競合他社との差別化にもつながります。
ほかにも、リピート率向上やクロスセルの成約が期待でき、企業の収益増加にも寄与するでしょう。
CRM戦略は、顧客との長期的な関係構築を促進し、LTV(Life Time Value)の向上につながります。LTVとは、顧客が購買から取引終了までの期間に、企業にもたらした利益を数値化したものです。
継続的なコミュニケーションと適切なフォローアップが実施できれば、顧客の企業に対する信頼や愛着が高まり、LTVは向上します。その結果、企業はさらに安定した収益基盤を築くことが可能です。
また、LTVとともに顧客満足度が高まれば、顧客は口コミや紹介といった行動を取る可能性もあります。こうした顧客のファン化が起きれば、自然と新規顧客の獲得も期待できます。
CRM戦略では、顧客情報を収集・分析するため、客観的なデータに基づいた意思決定が可能です。勘や経験に頼ることなく、データに裏付けされた意思決定は、効果的なマーケティング施策や、営業戦略の立案を可能にします。
また、データに基づくアプローチを実施する場合、リアルタイムのデータを活用するため、企業として、迅速な対応や市場変化への早期の順応が実現できます。
データを活用したCRM戦略は、企業のリスク軽減や成果の最大化に貢献し、企業の競争優位性を確保できるでしょう。
>>データドリブン営業とは?メリット・デメリットや導入手順を解説
CRM戦略を導入する際は、顧客情報の一元管理や、部門間の情報共有をスムーズにする必要があります。これにより、重複作業の削減やデータの即時活用が可能となり、業務全体の効率化につながります。
さらに、属人的だった業務が標準化されれば、サービス品質の均一化と改善が可能です。CRM戦略により業務の効率化が実現した先には、従業員の生産性向上やコスト削減、その先の企業や製品の競争力強化も見込めるでしょう。
>>CRMを導入するメリットは?得られる効果やデメリット、成功事例を紹介
CRM戦略を策定する手順について解説します。
大きく5つのステップに分かれるので、押さえておきましょう。
CRM戦略を始めるには、最初に自社の目標や、直面している課題を明確にすることが不可欠です。たとえば、売上増加や顧客満足度の向上など、具体的な目標や課題、解決の優先順位を設定します。
この段階で、達成すべきKPI(重要業績評価指標)を定めれば、戦略の進捗を測定しやすくなるでしょう。また、部門間での連携方法を定め、CRM戦略を全社的な取り組みとして推進することも重要です。
効果的なCRM戦略を展開するためには、明確なターゲット設定が必要です。データから自社の商品やサービスがもっとも価値を提供できる顧客層を見つけ、顧客像(ペルソナ)を詳細に描きます。
ペルソナを設定する際は、年齢、性別、職業、趣味、購買行動などのデータを基にすると、具体的な顧客像を設定できます。理想的な顧客像を構築すれば、よりパーソナライズされたアプローチが可能になるでしょう。
カスタマージャーニーとは、顧客が企業(製品)を認知してから、検討、購入、利用するまでのプロセスを可視化した図です。
CRM戦略を策定する際にカスタマージャーニーマップを作成すれば、顧客の行動や感情の変化を時系列で整理でき、各フェーズにおける最適なコミュニケーション方法を検討する際の指針となります。これにより、顧客体験の質を向上させ、購買意欲を高める施策の立案が可能になります。
CRM戦略には、CRMツールの活用が不可欠です。自社のニーズにあったCRMツールを選定することは、戦略の成功に直結します。
ツールを選定する際は多角的な視点での評価が必要です。具体的には、以下のような項目があります。
適切なツールの選定ができれば、顧客情報の一元管理や分析が効率的に実施でき、戦略の実行力が高まるでしょう。
>>【2025年】CRMツールおすすめ10選を比較|機能や導入メリット、選び方を解説
CRM戦略は、決めた施策を実施して終わりではありません。PDCA(計画・実行・評価・改善)を回し続け、継続的な改善と実施が求められます。担当者は設定したKPIを定期的に確認し、目標達成に向けた進捗を評価しましょう。
成果が思わしくない場合は、戦略や施策を見直し、必要に応じて修正を加えます。このPDCAサイクルを繰り返すことで、戦略の精度が向上し、より効果的な顧客関係の構築が可能となります。
CRM戦略は実施に際し、デメリットと注意点があります。
ここでは3点を解説します。
CRM戦略の導入には、CRMツールの活用が欠かせません。ツール活用には、初期費用や運用コストが発生します。また運用後も、システムの維持管理費用やユーザーライセンス費用、サポート費用などが継続的にかかる点も把握しておきましょう。
コストは、企業規模や導入するCRMツールの種類によって大きく異なります。中小企業にとっては、費用が導入の障壁となるかもしれません。導入前に予算と目的を明確にし、費用対効果を慎重に検討することが重要です。
>>CRM(顧客管理システム)の導入費用はいくら?タイプ別の相場と内訳を解説
CRM戦略のためにツールを導入しても、社内でのシステム定着には時間が必要です。具体的には、従業員が新しいシステムに慣れるためのトレーニングや、業務フローの見直しといった取り組みです。
またツール導入に伴い、従来の業務プロセスとは大きく異なるフローが発生すると、メンバーからの抵抗が生じる場合もあるでしょう。導入計画には余裕を持ったスケジュールを設定し、従業員の理解を得ながら、段階的に進めることが望ましいです。
CRM戦略は、効果が出るまでに時間がかかります。戦略実行後に、短期間で変化が現れるものではない点は理解しておきましょう。顧客データの蓄積や分析、施策の実行や改善といったプロセスを経て、徐々に効果が見えてきます。
また、メリットの項目で挙げたLTV(Life Time Value)の向上は、長期的な取り組みによって得られるものです。
CRM戦略の真価は、継続的な運用と改善を重ねることで発揮されます。導入初期には目に見える効果が少なく、投資対効果に疑問を感じるかもしれません。しかし、長期的な視点を持ち、取り組むことが重要です。
CRM戦略を実施したことで、企業課題を解決した事例を3つ解説します。
順番に見ていきましょう。
エステサロンを運営する株式会社フィオーレは、もともと顧客情報や施術履歴が一元管理されておらず、確認が困難な状況でした。また、店舗ごとの情報もスムーズに共有できず、課題を感じていたと言います。
そこから『GENIEE SFA/CRM』を導入し、個人情報や来店履歴、施術履歴、支払金額などをすべてCRMに集約。全店舗のデータを一元管理し、顧客情報を簡単に検索できるようにした結果、多くの効果が実感できたそうです。
たとえば、顧客が多い地域を割り出して新規出店を検討したり、人気メニューを把握して経営戦略に活かしたりするなどです。CRM戦略の実行により、管理業務が7割減など多くの効果を実感すると同時に、売上増加にもつながっています。
>>「GENIEE SFA/CRM」導入で管理業務が7割減!効率化で本来業務への注力が可能に
株式会社コムネットは、1989年創業以来、各種イベントの企画・運営を手掛けています。同社は工数や目標売上額の見直しを実施するにあたり、Excelでの一元管理を目指したものの実用に至らず、『GENIEE SFA/CRM』の導入を決定しました。
導入後は、毎週金曜に担当者が案件の進捗などを入力し、翌週はじめに最新データが見られるようルール化し運用を実施。こうした取り組みにより、顧客とのやり取りが素早く可視化され、休眠案件を掘り起こせるようになったと言います。
CRM戦略を実施することで、当初実現したかった正確な売上や粗利の把握が可能となり、精度の高い売上予想を立てられるようになりました。現在はこうした取り組みにより、スタッフの意識改革が行われ、会社全体で生産性の向上や売上意識の変化へとつながっています。
>>3カ月で「勝てる」組織づくりに成功。休眠顧客からの売上獲得も可能に
治療家やリラクゼーション領域の人材紹介業を展開する株式会社ウィルワンでは、就業・雇用支援サービスを運営するにあたり、「採用企業」「求職者」の二軸での顧客管理が必要でした。当初はスプレッドシートでの管理を目指していたもののうまく行かず、適切なデータ管理ができていなかったそうです。
そこから『GENIEE SFA/CRM』を導入し、入力の効率化や情報の変更フローの見直しに着手。導入後は、情報共有の漏れやタイムラグを削減させ、導入半年で別事業の全データをCRMへ移行することに成功しました。
現在は、情報管理の工数を6〜7割減少にも成功しており、求職者の採用決定率が飛躍的に向上する効果も実感しています。
>>導入1か月で成果を実感。業務のムダを7割減らし、売上が急増できた理由
『GENIEE SFA/CRM』は、日本の営業スタイルに特化した国産のSFA/CRMツールです。シンプルで直感的なユーザーインターフェースが好評で、ITに不慣れなユーザーでも感覚的に操作でき、CRM戦略の大きな後押しになるでしょう。
また、現場での定着率は99%と非常に高く、CRM戦略をはじめて実施する企業でも、スムーズに業務プロセスに取り入れることが可能です。
近年はAIとの連携も強化しており、AI議事録の作成やAI受注予測機能、AIネクストアクションレコメンド機能などを実装しています。今後AIを活用していきたい企業にとっても、最適な選択と言えるでしょう。
詳細は資料請求や無料トライアルで確認できるので、ぜひ以下よりお気軽にお問い合わせください。
>>「GENIEE SFA/CRM」の無料トライアルはこちら
CRM戦略は、顧客との関係性を強化し、企業の持続的な成長を支える重要な施策です。適切な目標設定やターゲットの明確化、カスタマージャーニーマップの作成、PDCAサイクルの実践を通じて、顧客満足度の向上やLTVの最大化が期待できます。
一方で、導入や運用にはコストや時間がかかるため、事前の計画と社内体制の整備が不可欠です。本記事で紹介したメリット・デメリットや策定手順を参考に、自社に最適なCRM戦略を構築し、競争力の強化を図りましょう。
CRMを導入していない企業や乗り換えを検討している企業には、定着率99%を誇る国産のCRMツール『GENIEE SFA/CRM』がおすすめです。使いやすい操作性と安心のサポート、高いセキュリティなどから、業種や規模問わず多くの企業で活用されています。
興味のある方は、以下よりお気軽に資料請求や無料トライアルにお申し込みください。
SFACRM