
顧客分析とは?代表的な手法やフレームワーク、手順を解説

顧客分析とは?代表的な手法やフレームワーク、手順を解説
売れる商品・サービスの共通点は「顧客を深く理解している」です。顧客を深く理解するためには、顧客分析を活用してニーズを把握することが大切です。しかし、なんとなく施策を打つだけでは効果が出にくく、顧客の求めているものを提供できません。
本記事では、顧客分析の代表的な手法やフレームワーク、手順を詳しく解説します。顧客分析を行う際のポイントや注意点も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
顧客分析とは?
顧客分析とは、顧客の属性や行動、ニーズを深く理解するために、顧客データを収集・分析することを指します。マーケティングや営業戦略を最適化し、顧客満足度や売上向上につなげるための施策です。
顧客のニーズを理解するためには「顧客が何に不満を感じているか」「顧客が本当に求めていることは何か」などを見つけ出すことが重要です。顧客分析を行うことで、データにもとづいた戦略立案が可能となり、競争力の強化やLTV(顧客生涯価値)の向上を目指せます。
No.68「LTV向上」
顧客分析の目的と重要性
顧客分析を行う目的と重要性は、以下の3つです。
- 事業課題の可視化
- 顧客ニーズの理解
- ターゲット顧客の特定
本項では、顧客分析の目的と重要性を詳しく解説します。
1.事業課題の可視化
顧客分析の目的は、どの顧客層や商品が売上に貢献しているのかを把握し、事業の課題を明確にすることです。現状のデータなしでは適切な施策の立案はできず、的外れな戦略を取るリスクが高まります。
顧客分析を行うことで、売上低迷や顧客離れの原因などが明らかになり、適切な改善策を見つけられます。
2.顧客ニーズの理解
顧客分析は、顧客ニーズを深く理解するために大切です。顧客分析を行うことで、顧客が求めているものや抱えている課題を明確にし、自社が提供すべき商品・サービスの方向性や改善点を見出せます。
データを活用することで潜在的なニーズを発掘でき、競争力のある商品開発やマーケティング戦略につなげられるでしょう。
3.ターゲット顧客の特定
顧客分析は自社にとって価値の高い顧客層を見極め、重点的にアプローチするためにも有効な手段です。「全体の成果の80%は、全体の20%の要素から生み出される」というパレートの法則があるように、売上の大部分は一部の主要顧客層によって支えられています。
顧客分析で主要ターゲット層を特定して、よりアプローチしていくことが売上向上のカギとなるでしょう。
顧客分析で扱う主なデータ項目
顧客分析では、数値で表される定量データと感情や言葉で表される定性データの双方を活用します。主なデータ項目は、以下の通りです。
項目 | 具体例 |
基本属性 | 年齢性別居住地収入 |
購買履歴・取引履歴 | 購入商品購入頻度累計購入額最終購入日来店頻度 |
顧客との接点履歴 | Webサイトの閲覧履歴・クリック履歴メール反応資料請求お問い合わせ履歴来店経路 |
商談・営業履歴 | 提案内容見積金額商談回数受注確度失注理由 |
顧客の課題・嗜好 | アンケート結果インタビュー |
満足度・ロイヤリティ指標 | 顧客満足度調査結果NPS(ネットプロモータースコア) |
購買プロセス情報 | 購買までの検討経路意思決定者の属性情報収集源 |
データを総合的に分析することで、「誰が自社の商品・サービスを利用しているのか」「なぜ利用しているのか」「利用顧客にはどのような共通点があるか」などを明らかにできます。
顧客分析の代表的な手法・フレームワーク
顧客分析にはいくつかの手法・フレームワークが存在します。
- RFM分析
- デシル分析
- セグメンテーション分析
- 行動トレンド分析
- コホート分析
- LTV分析
- CTB分析
本項では、顧客分析の代表的な手法・フレームワークを詳しく解説します。
1.RFM分析
RFM分析は、直近の購入日(Recency)・購入頻度(Frequency)・累計購入金額(Monetary)の3指標で顧客を分類する手法です。それぞれをスコア化し、総合スコアの高い顧客を優良顧客と見なします。
RFM分析により顧客をランク分けすることで、「最近頻繁に多額購入している顧客」「離反傾向にある顧客」などを把握でき、それぞれに適した施策立案が可能です。
2.デシル分析
デシル分析は、全顧客を購入金額順に並べて10等分にし、グループごとの売上貢献度を分析する手法です。トップ10%の顧客が売上に占める割合などを算出し、優良顧客層を特定します。
高デシル(上位顧客)にはVIP向け施策を、低デシル(下位顧客)には再アプローチ施策が検討できます。貢献度に応じてアプローチを変えることで、上位顧客の維持や中位層の育成、下位層の離反防止策に役立つでしょう。
3.セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は、顧客を共通の属性や行動特性にもとづいてグループ分けする手法です。性別・年代・地域などのデモグラフィック属性や、購買傾向・利用チャネル・嗜好といった行動・心理要因で細かく分類します。
セグメントごとの特徴を把握して広告メッセージを変更したり、商品のラインナップを調整したりなど、それぞれに最適化したマーケティング施策を講じることで効果を高められます。
4.行動トレンド分析
行動トレンド分析は、顧客の購買行動の時間的な傾向に注目する手法です。特定の季節・時期に購買が集中するパターンや、曜日・時間帯による売上変動を分析します。
たとえば「夏場に購買が増える顧客グループ」「平日と週末で行動が異なる顧客層」を見つけ出し、そのトレンドに合わせた商品提案やキャンペーンを展開できます。シーズンセールの計画や需要予測にも効果的といえるでしょう。
5.コホート分析
コホート分析は、顧客を特定の期間や条件でグループ化して経時的な行動変化を追跡する手法です。たとえば「2023年1月に初購入した顧客のリピート率の推移」を他の月と比較するといった具合です。
コホート分析を活用すれば、顧客維持率や離脱率がわかり、顧客の定着度合いを分析できます。SaaSや定期購買ビジネスにおける継続率分析や、施策実施前後の顧客動向比較などにおすすめです。
6.LTV分析
LTV分析は、顧客生涯価値を算出・評価する手法です。ひとりの顧客が取引開始から将来にわたり、もたらす累計利益を見積もります。
LTVの高い顧客は企業にとって非常に重要なため、ロイヤリティプログラムの強化やアップセル提案などによって維持・育成策に活かせます。とくに、広告費をかけて新規顧客を獲得するよりも、既存顧客のLTVを高めるほうがコスト効率がよいです。
7.CTB分析
CTB分析は、顧客をCategory(カテゴリ)・Taste(趣向)・Brand(ブランド)など独自に定めた3つの切り口で分類する手法です。とくに、小売業やECサイトなどの商品販売において「どのような商品カテゴリーを好み、どのような趣向を持ち、どのブランドにこだわりがあるか」を把握するのに役立ちます。
CTB分析を行うことで、顧客の購買パターンを理解でき、それにもとづく適切なマーケティング施策の立案が実現します。
顧客分析を行う手順
顧客分析は、以下の手順で行います。
- 分析の目標を設定する
- 分析対象とする顧客層を決める
- 必要なデータを収集する
- 適切な手法で分析する
- 結果を可視化する
手順を参考にして、さっそく顧客分析を行ってみてください。
1.分析の目標を設定する
まずは、顧客分析によって何を達成したいかを明確にします。「優良顧客の離脱を防止したい」「顧客満足度を向上させたい」など、具体的な目標を定めることで、分析の方向性が明確化します。
可能であれば「解約率○%改善する」といったKPIも設定して、定量的に進捗を測定できるようにしましょう。適切な目標設定により、分析結果を実際の施策へと効果的に活用して事業成長につなげられます。
2.分析対象とする顧客層を決める
目標を設定したら、分析対象とする顧客層を決めます。分析の目的に応じて、どの顧客層を対象とするかを明確に定義することが重要です。「既存顧客のみを分析」「直近○年間の購入客を対象」など、適切な枠組みを設定することで分析の精度が向上します。
たとえば「解約率の低下」が目標であれば、長期継続顧客と短期間で離脱した顧客を分けて分析し、それぞれの特徴や行動パターンを把握すれば効果的な改善策を導き出せるでしょう。
3.必要なデータを収集する
顧客層が決定したら、必要なデータを収集します。購買履歴データや顧客属性データは、自社のCRMや販売システムなどから取得しましょう。また、Webサイトのアクセス解析やSNSのエンゲージメントデータも活用することで、より多角的な分析が可能です。
なお、必要なデータが不足している場合は、アンケート調査やインタビューを実施する必要があります。効果的な顧客分析を行うためには、顧客の意識やニーズに関する補足情報を集めることが重要です。
>>【2025年】CRMツールおすすめ10選を比較|機能や導入メリット、選び方を解説
4.適切な手法で分析する
顧客分析を行う際は、自社の目的やデータの種類に応じて最適な手法を選択し、場合によっては複数の手法を組み合わせるのが効果的です。たとえば、購買パターンの変化をいち早く察知したいときは「行動トレンド分析」がおすすめといえます。
顧客セグメントごとに最適な施策を打ちたいときは、RFM分析で優良顧客・休眠顧客を特定して、行動トレンド分析でその購買行動の変化を把握するなど、複数の手法で分析するとよいでしょう。
5.結果を可視化する
得られた分析結果は、グラフやチャートを用いて可視化しつつ、全体像を把握できるようにします。単なる数値データだけでは傾向がわかりにくいため、ExcelやBIツール、ダッシュボードを活用して誰もが理解しやすい形に整理しましょう。
また、可視化したデータをもとにPDCAサイクルを回して継続的に施策を見直すことで、より精度の高いマーケティング戦略を実現できます。
顧客分析を行う際のポイント・注意点
顧客分析を行う際には、以下のポイント・注意点があります。
- 「顧客」の定義を明確にする
- 定量データだけでなく定性データも活用する
- 顧客の購買プロセスを考慮する
- 市場環境も合わせて分析する
本項では、顧客分析を行う際のポイント・注意点を詳しく解説します。
1.「顧客」の定義を明確にする
顧客分析を行う際は、分析対象とする「顧客」の定義を明確にすることが重要です。たとえば「すべての既存顧客を対象にするのか、上位顧客のみを分析するのか」「法人顧客か個人顧客か」など、定義を具体的に決める必要があります。
顧客の範囲があいまいだと、分析結果の解釈にズレが生じて施策の方向性がブレてしまうでしょう。事前に明確な定義を設定することで、正確なインサイトを得られて適切な戦略立案につなげられます。
2.定量データだけでなく定性データも活用する
顧客分析では、売上や購買履歴などの定量データだけでなく、顧客の声や行動の背景といった定性データにも目を向けましょう。数値だけではわからない「なぜこの商品が選ばれたのか」「なぜ離脱したのか」といった深層心理を探ることで、深い洞察が得られます。
アンケートやインタビュー、SNSの口コミ分析を活用すれば、顧客の本当のニーズや課題を把握できて施策の精度を高められるでしょう。
3.顧客の購買プロセスを考慮する
顧客分析では、単に属性や売上データを確認するだけでなく、顧客が購入に至るまでのプロセスを踏まえることも大切なポイントです。とくに、BtoBビジネスでは現場担当者と決裁者が異なる、複数人での合議制が必要など、購買プロセスが複雑化しやすいのが特徴です。
そのため、分析時には「情報収集 → 比較検討 → 意思決定 → 購入」といった購買プロセスのどの段階にネックがあるのかを見極めましょう。適切なタイミングで施策を打つことで、成約率の向上につなげられます。
4.市場環境も合わせて分析する
自社の売上が伸び悩んでいる場合でも、市場全体が縮小しているなら、単に施策の問題ではなく外部要因の影響も考えられます。そのため、公的統計や業界レポートを参照して、市場調査することをおすすめします。
「ターゲット市場は成長しているのか」「競合のシェアはどう変化しているか」「顧客の消費傾向は変わっていないか」などを分析しましょう。
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効果的かつ効率的に顧客分析を行いたい方は、CRMの活用も検討してみてください。
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顧客分析を通じて適切な施策を実行しよう
顧客分析は、事業課題を可視化して顧客への理解を深めるために大切な分析です。最終的なゴールは「自社と顧客のマッチング精度を高めること」にあり、適切な分析を行うことで、より効果的なマーケティング施策や商品・サービスの改善に役立ちます。
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