リードナーチャリングの意味とは?手法や手順、成功のポイントを解説
リードナーチャリングを行う意味・目的は、見込み顧客の購買意欲を高めて失注機会を減らすことです。収益を確実に確保するには、受注率の高い顧客を優先するのが当然です。
しかし、前回接触時から時間が空きすぎると、他社と契約を締結してしまうかもしれません。失注機会を減らすには、リードナーチャリングによって、自社商品・サービスへの関心を高めておく必要があります。
本記事では、リードナーチャリングを行う意味や手法、手順などを詳しく解説します。思うように新規顧客を獲得できていない方や、営業活動の工数増大にお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
リードナーチャリング(Lead Nurturing)とは、見込み顧客(Lead)に対して継続的なアプローチを行い、購買意欲を高める(Nurturing)マーケティング手法です。メール配信やセミナー、ウェビナーなどを通じて、自社製品やサービスへの理解を深めてもらい、最終的に購入や契約につなげるのが目的です。
とくに、購入までの検討期間が長いBtoBビジネスや、不動産・金融商品などのBtoC商材で効果を発揮します。適切な情報提供を重ねることで、顧客との信頼関係を築き、スムーズな意思決定を促せます。
リードナーチャリングと似たような意味合いを持つ言葉に、リードジェネレーションやリードクオリフィケーションがあります。それぞれの意味の違いは以下の通りです。
名称 | 詳細 |
リードナーチャリング | 見込み顧客の購買意欲を高めること(育成) |
リードリードジェネレーション | 見込み顧客を獲得すること |
リードクオリフィケーション | 見込み顧客を選別すること |
リードナーチャリングは見込み顧客を育成するのが目的です。見込み顧客の育成には、まず自社商品・サービスに関心を持つ人々を集める必要があります。その役割を担うのがリードジェネレーションです。
また、営業活動の効率化と売上拡大のため、関係を深めた見込み顧客のなかから、購買意欲の高い顧客を選別します。見込み顧客を選別し、選別した顧客に売り込む作業がリードクオリフィケーションです。
なお、見込み顧客の獲得〜成約までの流れは以下の5ステップです。
今回紹介した3つのマーケティング手法は、いずれも企業の業績拡大に欠かせません。
リードナーチャリングを行う意味や目的は、主に以下の3つです。
リードナーチャリングによって、営業活動の効率化と収益拡大の両立を目指しましょう。
限られた時間で多くの収益を上げるためには、成約率が高い顧客や受注金額が大きい案件を優先するのが通説です。成約するかわからない見込み顧客に対して、多くの時間を費やすのは非効率だといえます。
しかし、見込み顧客を放置しすぎると、競合他社と成約する可能性があります。仮に他社と契約した場合、新たな見込み顧客を探さなければなりません。
失注機会を削減するには、リードナーチャリングによって見込み顧客との関係を維持することが重要です。また、顧客の反応や行動に変化が生じた際に提案の機会を設けると、成約の可能性が高まるでしょう。
新規顧客の獲得には見込み顧客との関係強化が欠かせません。しかし、購買意欲の低い見込み顧客と商談を重ねても、すぐに成約につながる可能性は低いです。
購買意欲の低い見込み顧客に多くの時間を割くと、既存顧客との商談機会が減り、関係悪化を招くおそれもあります。見込み顧客と既存顧客の双方と良好な関係を維持するには、時間を有効活用することが重要です。
リードナーチャリングによって優先的に接触すべき見込み顧客を可視化できれば、営業活動を効率化できます。これにより、既存顧客との商談に充てる時間を確保でき、リピート率の改善や単価向上も望めるでしょう。
>>営業を効率化する方法10選!アイデアや流れ、ツールや成功事例も紹介
新規顧客の獲得に必要なコストは、既存顧客との関係維持に比べ約5倍といわれています。スマートフォンの普及や検索エンジンの発達にともない、情報収集しやすい環境が整ったためです。
顧客は検討中の商品・サービスの情報を簡単に集められるため、必ずしも企業の営業担当者と接触する必要がありません。商品の詳細なスペックや図面など、Web上では集められない情報が必要な場合のみ営業担当者と接触します。企業側にとっては、見込み顧客との接点が持ちにくい状況です。
リードナーチャリングで見込み顧客の購買意欲や関心を高められれば、新規開拓にかかる負担を軽減できます。購買意欲の高い見込み顧客を可視化し、無駄なコストの削減と新規顧客獲得の両立が可能です。
リードナーチャリングの代表的な手法には以下の5つがあります。
複数の手法を使うと、見込み顧客との関係強化を図れる可能性が高まるので、順番に見ていきましょう。
メール配信では定期的なメルマガに加え、イベントやキャンペーンの告知など、顧客の関心やニーズに応じたメールを配信します。見込み顧客の関心度に応じた情報発信によって、効果的に購買意欲を高められます。
ステップメールやセグメントメールを活用すると、業務効率化やコンバージョン率向上が望めるでしょう。GoogleアナリティクスやMAツールを活用すれば、クリック率や開封率などの効果測定もおこなえます。
また、他の手法と比べて、比較的低コストで始められる点も魅力です。
SNSは拡散力に優れており、有益な情報を投稿するとリポストやシェアなど、ユーザー同士で情報を共有します。投稿に興味・関心を持ってもらえれば、手間をかけずに自社商品・サービスに関する情報を不特定多数にアピールできる点が強みです。
また、SNSアカウントは基本的に無料で作成できるツールが多く、他の手法と比べて広告費がかかりません。InstagramやFacebookへ広告を掲載すると、さらなる宣伝効果が望めるでしょう。
SNS広告も数百円から出稿できるため、予算確保が難しい企業も導入しやすい手法です。
オウンドメディアとは、サービスサイトやECサイト、ブログなど、自社で保有するメディアのことです。自社商品・サービスに関連する情報を積極的に掲載し、見込み顧客との接点創出や既存顧客との関係強化が図れます。
オウンドメディアの特徴は、高品質な情報を顧客に伝えられる点です。コラム記事や画像、動画など、さまざまな方法で顧客に情報を発信できるため、商品への理解度や購買意欲の向上が見込めます。
また広告と異なり、オウンドメディアで一度公開した記事や動画は、短期的な効果にとどまりません。集客ツールとして長期間機能するため、リピーターの獲得や認知度の向上が期待できます。
リターゲティング広告とは、1度自社サイトに訪問したユーザーに対して配信する広告のことです。自社サイトから離脱後、他社のWebサイトを閲覧している際に広告を表示し、再訪問を促すのが狙いです。
コーポレートサイトやサービスサイトにアクセスしたユーザーは、他のユーザーと比べて自社商品・サービスへの関心が高いと判断できます。広告表示による接触回数の増加によって、コンバージョン率向上を目指します。
ただし、リターゲティング広告の仕組みに不可欠なCookieが、個人情報保護の観点から使用できなくなる可能性が生じており、今後も継続的に利用できる保証はありません。
セミナーは、自社商品への関心が高い見込み顧客と直接コミュニケーションを取れる点がメリットです。相手の表情を見ながら商品の説明や質問への回答ができるため、信頼関係を築きやすいです。
一方、開催には会場の確保や移動、当日の設営など多くの手間がかかります。リソースに不安を抱える場合は、ウェビナーを選択するのがおすすめです。
ウェビナーは、インターネット回線とWeb会議ツールを使い、オンライン上で開催するセミナーです。セミナーと異なり、会場の確保や当日の設営などは必要ありません。会場へ移動する必要もなく、多くの方が参加しやすい点もメリットといえます。
自社の状況に応じてセミナーとウェビナーを使い分けましょう。
リードナーチャリングは以下の手順に沿って進めます。
各プロセスの詳細を順に解説します。
サービスサイトやオウンドメディア、セミナーなど、チャネル別の顧客情報を集約する作業です。顧客情報が点在した状態だと、思うように作業が進められません。
たとえば、会社名が「株式会社」と「(株)」表記揺れしていると、その会社の情報を集めるのに必要以上に時間がかかります。また、顧客情報が不足し、今後の作業に影響が生じるおそれもあります。
顧客情報を効率的に集めるには、名寄せやデータクレンジングを行い、顧客情報を整理することが大切です。
>>名寄せとデータクレンジングの違いは?やり方や重要性、便利なツールを紹介
見込み顧客と一括りにしても、自社商品・サービスへの関心や購買意欲の高さによって必要な情報は異なります。そのため、年齢や住所、職業など属性や行動傾向に応じて、見込み顧客を分類する作業が必要です。
BtoB企業の場合は、過去の商談内容やWeb上での行動履歴、名刺データの流入経路などを参考に見込み顧客を分類します。
見込み顧客が自社の商材を認知してから商談に至るまで、段階別のマーケティング施策を考える作業です。一定の条件を設けておくと、見込み顧客がどの段階に該当するか把握しやすくなります。
段階別のマーケティング施策の例は以下の通りです。
フェーズ | 条件の例 | 主な施策 |
認知 | 6ヶ月以内にサービスサイトまたはコーポレートサイトにアクセスした2ページ以上を閲覧したメール配信やDMを許可した | メール配信SNSへの投稿リターゲティング広告を含めたWeb広告の掲載 |
興味・関心 | 6ヶ月以内に資料請求をした6ヶ月以内にホワイトペーパーをダウンロードした3ヶ月以内にセミナーに申し込んた | オウンドメディアでの記事制作や情報発信リターゲティング広告を含めたWeb広告の掲載セミナーの開催 |
比較検討 | 3ヶ月以内に資料請求をした3ヶ月以内にホワイトペーパーをダウンロードした | 自社サイトでの情報発信オウンドメディアでの記事制作や情報発信 |
商談 | 商談の日程が確定した | 営業担当者との商談 |
見込み顧客の多くは、自社商材への関心や購買意欲が低い「認知」の状態からスタートします。リードナーチャリングは、ひとりでも多くの購買意欲を高め、商談の獲得や成約につなげるのが目的です。
また、商談獲得に至るまでの段階は、商材やビジネスモデルによって異なります。既存顧客の商談履歴や販売実績を参考に、自社の状況に合わせてカスタマイズしましょう。
スコアリングは、見込み顧客の行動から、自社商品への認知度や購買意欲の高さを可視化する作業です。見込み顧客が自社商材の認知から商談の獲得まで、どの段階に位置しているか見分ける際に必要になります。
スコアに明確な基準はなく企業によっても異なりますが、できるだけわかりやすく点数を付けることが大切です。たとえば「2ヶ月以内に資料請求をしていれば10点」や「セミナーに出席していれば10点」といった具合です。
設定を細かく決めすぎると、スコアリングや設定の見直しに多くの時間を要するため、注意しましょう。
自社商品・サービスに対する関心や購買意欲の高さに応じて、必要な情報を配信します。
たとえば、購買意欲が高い顧客には、購入につながりやすいデモ機や無料トライアルの案内に関する情報を発信します。一方、自社商品への関心が低い顧客に対しては、メルマガや新商品発売に関するメールなどを配信し、関係維持を図るといった具合です。
一定期間が経過しても見込み顧客の行動や反応に変化が見られない場合は原因を分析し、違う施策を検討しましょう。単発ではなく、PDCAサイクルを回して改善を図ることが大切です。
リードナーチャリングを成功させるポイントは以下の3つです。
内容を一つひとつ見ていきます。
BtoBとBtoCでは、取引金額や成約に至るまでの期間など、さまざまな違いがあります。双方の違いを以下の表に記載しました。
BtoB | BtoC | |
ビジネスの対象 | 企業医療機関学校個人事業主 | 一般消費者 |
取引金額 | 大 | 小 |
完成品以外の商材の有無 | 原材料部品機械 | 完成品のみ |
対象者の購入方法 | 販売元との直接取引販売代理店経由での取引 | 小売店ECサイト |
決裁者 | 複数 | 購入者自身 |
検討期間 | 長期間 | 短期間 |
商流切り替えの難易度 | 高 | 低 |
BtoBの場合、成約に至るまでには複数の担当者からの承認が必要です。成約に至るまで1年以上かかるケースも珍しくありません。
他社からの商流切り替えも難易度は高い反面、発注数や取引金額はBtoBの方が圧倒的に大きいです。収益拡大には、リードナーチャリングでひとりでも多く購買意欲の高い見込み顧客を育てることが重要です。
KPIとは「重要業績評価指標」と訳され、目標達成に向けた各施策の達成状況を可視化した指標です。リードナーチャリングでは以下のようなKPIを設定します。
適切なKPIを設定すると、現状を正確に把握しやすくなり、施策の優先順位を付けやすくなります。
MA(Marketing Automation)は、マーケティング業務を効率化できるシステムです。見込み顧客の情報管理やスコアリング、メール配信などの機能を搭載しており、リードナーチャリングにかかる工数を大幅に削減できます。
一方、SFA(Sales Force Automation)は、営業支援システムのことです。顧客情報や案件情報、商談の進捗状況など、営業活動に関する情報全般を一元管理できる点が特徴です。受注確率の高い案件や優先すべき顧客を一目で把握できるため、無駄な行動を削減できます。
営業活動の効率化によって、リードナーチャリングに充てる時間を多数確保できます。自社の課題に応じて、MAとSFAのどちらを導入するか判断しましょう。
>>SFAを導入するメリット・デメリット|得られる効果や導入事例を紹介
新規開拓の負担軽減や既存顧客との関係強化など、リードナーチャリングを行う目的はさまざまです。実施するには多くの手間と時間がかかるため、既存顧客の関係維持と見込み顧客の育成を両立するには、MAやSFAを導入し営業活動を効率化することが重要です。
SFAの導入を検討中の方には『GENIEE SFA/CRM』をおすすめします。『GENIEE SFA/CRM』は定着率99%を誇るSFA/CRMで、顧客管理や商談管理、ワークフローなど、多くの機能を搭載しています。
MAとの連携にも対応しており、購買意欲の高い見込み顧客の可視化やマーケティング業務を効率化することが可能です。設定から運用まで手厚いサポート体制が整っており、はじめてSFAを導入する方でも安心して利用できるでしょう。興味のある方は、無料の資料請求やトライアルを利用し、実際の使用感をご体験ください。
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