営業活動のデジタル化や効率化が進む中で、注目を集めているのが「セールステック」です。とくに、営業が属人化している企業や売上の伸びに課題を感じている企業にとっては、セールステックの活用がおすすめといえます。
本記事では、セールステックの基本から主要7カテゴリーまで解説します。導入メリットや成功させるポイントも解説するので、営業成果を上げたい企業はぜひ参考にしてみてください。
セールステックとは、営業(Sales)と技術(Technology)を掛け合わせた造語で、営業の業務にITやAIといったテクノロジーを取り入れ、業務効率や成果の向上を図るための仕組みやツールのことを指します。従来、人手や経験に頼りがちだった営業を、よりデータドリブンかつ戦略的に進めるのが特徴です。
代表的なセールステックツールには、営業活動を一元管理できる「SFA(営業支援システム)」や顧客情報の管理に強い「CRM(顧客管理システム)」などがあります。セールステックを活用することで、営業データの可視化や作業の自動化が実現し、チーム全体で成果を上げる体制を構築できます。
セールステックが注目される背景には、以下の理由が挙げられます。
本項では、セールステックが注目される背景を詳しく解説します。
日本では少子高齢化が進んでおり、人材の確保や育成がますます難しくなっているのが現状です。内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、生産年齢人口(15歳〜64歳)は1995年の8,716万人をピークに徐々に減少しており、2050年には5,275万人にまで減少すると予測されています。
しかし、その状況下でも成果を上げる仕組みを構築しなければいけません。
そこで注目されているのが、営業業務を効率化・自動化できるセールステックの活用です。ITやAIの力を借りながらアプローチ先の選定や商談の進捗管理を行うことで、人手が足りなくても一定の成果を出せる体制を構築できます。
営業活動の現場では、従来のような対面での営業スタイルから、オンライン商談やメール、チャットツールなどを活用した非対面型の営業へとシフトが進んでいます。しかし、従来の属人的な手法だけでは、非対面型の営業において戦略的なアプローチは行えません。
一方、セールステックを導入すれば、商談状況の可視化や営業プロセスの自動化が可能となり、営業活動全体の精度とスピードを高められます。非対面での営業力を強化する手段として、セールステックは非常に有効といえるでしょう。
引用元:CBInsights
カオスマップとは、特定の業界やテーマに関連するサービスやツールをカテゴリーごとに分類して、ひと目で全体像を把握できるようにした図のことです。セールステックの分野でも、SFAやCRMをはじめとした多種多様なツールが存在しており、全体像を把握するのに役立ちます。
なお、CBInsightsが作成した「SALES TECH MARKET MAP」によると、セールステックは大きく7つのカテゴリーに分けられます。
これら7つのカテゴリーから、自社の課題やニーズに合ったツールを選定しましょう。
セールステックには、さまざまなツールやサービスがあります。しかし、効率的に活用するためには、それぞれの役割や機能を正しく理解することがポイントです。
「CBInsights」が分類した以下7つのカテゴリーをもとに、それぞれの活用方法を解説します。
強みや特徴を押さえて、自社に必要なカテゴリーを選定してみてください。
営業加速(Sales Enablement & Acceleration)は、営業活動のスピードと質を向上させて、短期間でより確実に成果を上げることを目的としたカテゴリーです。営業プロセスには顧客の情報収集や提案資料の作成、商談の進行、クロージングなどがあり、時間と労力がかかります。
営業加速系のツールを導入することで、業務の一部を自動化・効率化できるため、より短時間で成果を上げる体制づくりが可能です。なお、代表的なツールには、営業活動全体を管理できるSFAがあります。
>>【2025年版】SFA(営業支援システム・ツール)おすすめ比較10選
顧客関係管理(General CRM)は、顧客とのやり取りや顧客情報を一元管理して、信頼関係の構築と継続的な売上アップを目指すためのカテゴリーです。顧客関係管理分野で代表的なツールには、CRMが挙げられます。
CRMを活用すれば、顧客の属性や過去の購入履歴、対応履歴などを一元管理でき、最適なタイミングで最適な提案を行うことが可能です。また、複数の担当者が同じ情報を共有できるため、社内の連携がスムーズになり、顧客対応の質も向上します。
>>【2025年】CRMツールおすすめ10選を比較|機能や導入メリット、選び方を解説
カスタマーサポート(Customer Support)は、顧客対応を効率化して、満足度の向上やリピート率を高めるためのカテゴリーです。たとえば、問い合わせ対応が属人的だったり、対応履歴が共有されていなかったりすると、対応のムラや遅れが生まれてしまいます。
カスタマーサポート系のツールを導入することで、問い合わせの管理や対応履歴の共有、チャットボットによる一次対応などが可能になり、スピーディかつ一貫性のある対応が実現します。
顧客体験(Customer Experience)は、商品やサービスにおけるすべての接点で、顧客にとって心地よい体験を提供することを目的としたカテゴリーです。
顧客体験分野のツールを活用することで、顧客の行動データをもとに最適なタイミングでアプローチしたり、パーソナライズされたコミュニケーションを図ったりすることが可能です。結果として、顧客のロイヤルティが高まり、LTV(顧客生涯価値)やリピート率の向上につながります。
インテリジェンス・解析(Intelligence and Analytics)は、営業活動のさまざまなデータを可視化・分析して、精度の高い意思決定を行うためのカテゴリーです。現代は感覚や経験に頼るのではなく、データを根拠にした戦略的な営業が求められます。
たとえば、商談数の推移や成約率などを分析することで、営業プロセスのボトルネックを見つけたり、成果につながるパターンを明らかにしたりすることが可能です。なお、代表的なツールには、複数のデータを一元的に分析できるBIツールが挙げられます。
コンタクト・コミュニケーション(Contact & Communication)は、顧客とのやり取りをスムーズかつ効果的に行うためのカテゴリーです。営業活動ではいかに素早く、適切な方法で顧客とコンタクトを取れるかが成約につながります。
コンタクト・コミュニケーションツールを活用することで、メールや電話だけでなく、チャットツールやオンライン商談ツールなどを通じて、顧客とのやり取りが実現できます。対応スピードアップにつながるため、結果として顧客満足度の向上や機会損失の防止が期待できるでしょう。
人材開発・コーチング(People Development & Coaching)は、営業担当者のスキルアップや育成を効率化して、組織全体の営業力を底上げすることを目的としたカテゴリーです。従来のOJTでは、育成に時間がかかるうえ、教える側のスキルやリソースにも限界があります。
そこで、効率的な育成に役立つのが人材開発・コーチングに特化したセールステックです。たとえば、オンライン営業研修ツールを導入すれば、場所や時間に縛られることなく、体系的なトレーニングを行えます。
セールステックを導入するメリットには、以下が挙げられます。
本項では、セールステックを導入するメリットを詳しく解説します。
セールステックを導入することで、営業業務の効率が大幅に上がり、少ない工数でより高い成果を出せる体制をつくれます。営業活動には情報収集や顧客管理、商談内容の記録など、実際の「売る」仕事以外にも多くの作業が発生しがちです。
セールステックを活用すれば、作業を自動化・効率化できるため、より重要な商談や顧客対応に集中できるようになります。限られたリソースで最大限の成果を出すには、セールステックの活用が効果的でしょう。
>>営業を効率化する方法10選!アイデアや流れ、ツールや成功事例も紹介
セールステックを活用することで、顧客一人ひとりに対してより的確でスピーディな対応が可能になり、結果として顧客満足度の向上が期待できます。やり取りの履歴をチーム全体で共有できるため、たとえ担当者が変わっても一貫性のある対応ができ、顧客との信頼関係を損なうリスクも軽減されます。
「この会社は自分のことをよく理解している」と感じてもらえるほか、リピート率やロイヤリティの向上にもつながるでしょう。
営業現場では「この案件は感触がいい」「今月は売上が上がりそう」といった感覚的な判断が行われることも少なくありません。しかし、予測が不正確だと、戦略にズレが生じてしまいます。
セールステックを導入することで、商談の進捗状況や顧客の行動履歴など、さまざまなデータをもとに売上や成約の見込みを定量的に分析できます。数字に基づいた根拠のある予測を立てられるようになり、精度の高い戦略立案が可能です。
>>データドリブン営業とは?メリット・デメリットや導入手順を解説
セールステックの活用が進む今、営業担当者にも新たなスキルが求められています。セールステック時代に成果を出す営業になるには、以下3つのスキルを磨きましょう。
本項では、セールステック時代に営業が磨くべきスキルを詳しく解説します。
営業活動のデジタル化が進み、SFAやCRM、オンライン商談ツールなどの活用が当たり前になってきています。ツールを使いこなせなければ、情報共有や顧客対応のスピードで差がつき、思わぬ機会損失につながる可能性もあります。
ITに苦手意識がある営業担当者も、まずは基本的な操作や用語の理解から始めることが大切です。ツールを味方につけることで、よりスマートな営業スタイルを実現できるでしょう。
セールステック時代の営業においては、提案力と対話力も求められます。相手のニーズや課題を正確に引き出して、それに合った価値を提案できるかどうかが重要です。
たとえば、ヒアリングの場面で「現在の課題は何ですか?」と尋ねるだけでは不十分です。「なぜそれが課題だと感じているのか?」「それによってどのような影響が出ているのか?」といった深掘りの質問を重ねることで、本質的なニーズを引き出せます。
セールステックの普及により、商談状況や顧客の行動、受注率などの営業データが簡単に可視化できます。
しかし、可視化された数値を眺めるだけでは意味がありません。データの背後にある傾向や要因を読み解き、そこから適切なアクションへとつなげる判断力が求められます。
データによる根拠をもとに、戦略的な意思決定を行う能力が必要といえるでしょう。
セールステック導入を成功させるためのポイントは、以下の通りです。
失敗を避けるためにも、以下で解説するポイントを押さえておきましょう。
SFAやCRM、MAなど多種多様なツールがある中で、目的が曖昧なまま導入を進めると「機能が使いこなせない」「現場で活用されない」といった失敗につながります。
事前に「何を改善したいのか」「どこに課題があるのか」を洗い出すことで、必要な機能が見極めやすくなり、ツール選定や運用設計もスムーズに進められます。
長期的にセールステックを活用するには、社内で定着させるための工夫が必要です。営業担当者が「使いにくい」「目的がわからない」と感じてしまえば、活用されずに形骸化してしまう恐れがあります。
導入初期には、操作マニュアルの用意やトレーニングの実施がおすすめです。また、入力の手間を減らす設定や機能を段階的に説明するレクチャーを取り入れることで、現場の負担や抵抗感を軽減できます。
セールステックは導入して満足するのではなく、商談数の増加や受注率の変化、ツールの入力率・利用率などの具体的な指標をチェックすることで、活用状況や課題が明確になります。
数値で効果を可視化すれば、現場の理解も深まり、改善や活用促進にもつながります。継続的な検証と見直しを通じて、セールステックの効果を最大限に引き出しましょう。
セールステック導入を成功させるには、操作性が高くサポート体制が整っているツールを選びましょう。どれだけ多機能でも操作が複雑だったり、直感的に使えなかったりすると定着しない恐れがあります。
また、導入後に不明点やトラブルが発生した際に、迅速かつ丁寧に対応してくれるサポートがあれば、安心して運用を続けられます。ツールの選定時には機能の豊富さだけでなく、実際に現場で使い続けられるか、サポートの質はどうかといった点をしっかり確認しましょう。
セールステックを活用すれば、営業活動の効率化はもちろん、属人化の解消や成果の最大化が実現できます。データに基づいた戦略的な営業が可能になるため、成約率や顧客満足度の向上も期待できます。
とくに、営業リソースが限られている企業や、チームで成果を高めたい企業には効果的といえるでしょう。
なお、使いやすさや現場への定着を重視する場合は、『GENIEE SFA/CRM』がおすすめです。直感的な操作性と充実したサポート体制で、導入直後からしっかり活用できる環境が整っています。
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