SFAを使った行動管理・プロセス管理の方法は?メリットや注意点を解説
SFA(営業支援システム)は、営業活動を効率的に管理するためのツールとして、多くの企業で活用されています。SFAで行動管理・プロセス管理を行うと、営業担当者のタスクや商談状況を可視化でき、データにもとづいた適切なアプローチを実現可能です。
本記事では、SFAで行動管理・プロセス管理するメリットや具体的な方法、役立つ機能や注意点を詳しく解説します。
行動管理・プロセス管理とは、業務の効率化や目標達成を目的に、個人や組織の活動を計画的に管理する手法です。従業員やチームが日々の業務をどのように行い、成果に結びつけているのかを可視化し、改善点を見つけるための仕組みを構築します。
行動管理・プロセス管理をすると、業務の効率化だけでなく、目標達成までのプロセスを明確にし、組織全体の生産性向上を図ることが可能です。とくに営業活動やプロジェクト運営において効果的で、SFAを活用すると、より正確かつ効率的な管理が実現できます。
行動管理・プロセス管理を行う際は、日々の活動状況を把握し、改善点を見つけるためにも、具体的な指標を設定しましょう。
行動管理・プロセス管理の指標は主に以下の通りです。
指標 | 課題 | 改善案 |
コール数 | ・アポイントが取れないコールが多い・顧客リストが最新ではない | ・ターゲットリストを定期的に更新し、効果的なリード情報を提供・トークスクリプトを見直し、顧客に刺さる内容に改善 |
商談数 | ・商談設定までのプロセスが遅い・フォローアップ不足で機会損失が発生する | ・フォローアップを自動化するリマインダー機能を導入・商談に至るまでのアクション(例:初回アプローチ)を明確化し、営業担当者が優先的に取り組めるようにする |
リード獲得数 | ・リードの質が低く、見込みの薄いリードが多い・リード獲得活動の手法が限られている | ・リードのスクリーニング基準を厳密化し、見込み度の高いリードに注力・新たなリード獲得チャネル(SNS広告、セミナーなど)を開拓 |
見積もり提出件数 | ・見積もり提出後の成約率が低い・見積もりの提案内容が顧客ニーズと合っていない | ・顧客ヒアリングを強化し、ニーズに合った提案実施・見積もり提出後のフォローアップを必須タスクとして設定し、期限を設けて対応状況をSFAで管理 |
訪問件数 | ・効率的に訪問できておらず、移動時間が多い・訪問先の事前準備不足で成約につながらない | ・訪問スケジュールを最適化するために、地理的に近い顧客をまとめて訪問・訪問前にSFAで顧客情報を確認し、課題やニーズを把握した上で提案内容を準備する |
継続的にモニタリングすることで、個々の活動が目標にどれだけ寄与しているかを分析できます。
KGI(Key Goal Indicator)とKPI(Key Performance Indicator)は、目標達成のための重要な指標として広く利用されています。それぞれの意味や具体例は以下の通りです。
項目 | 役割 | 例 |
KGI(重要目標達成指標) | 組織全体の目標を定義 | 年間売上高1億円顧客満足度90%以上市場シェア率25%以上 |
KPI(重要業績評価指標) | 日々の進捗状況を可視化 | 月間新規顧客数100人Webサイト訪問者数10万人/月メール開封率50%以上 |
KGIとKPIを組み合わせて行動管理・プロセス管理することで、目標達成までの進捗状況を明確に把握できます。
行動管理・プロセス管理を導入することで、非効率な業務や成果に直結しない行動を特定し、改善のヒントを得られます。また、成果を生む行動パターンや組織内のボトルネックを明確化することも可能です。
<見えることの具体例>
業務フローの中で見つかった課題を可視化し、対策を講じることで、業務効率化や成果の向上を実現できます。
SFAを導入することで得られるメリットを3つ紹介します。
各メリットを順番に見ていきましょう。
SFAを導入することで、営業活動のデータを自動的に収集・分析でき、担当者に対して的確なフィードバックを行えます。
たとえば、フォローアップのタイミングが遅れている場合、営業担当者の商談数や成約率といったデータをもとに、改善策として「フォローの自動リマインダーを設定する」といった具体的なアドバイスを提供できます。また、成功した営業アプローチや商談のパターンをデータとして蓄積し、次回の営業計画に反映させることで、より高い成果を目指せるでしょう。
数値や事実にもとづいた具体的なフィードバックは、個人の成長を促進するとともに、チーム全体の営業力強化にもつながります。
SFAを活用した行動管理・プロセス管理は、個々の営業活動で得られた知見や成功事例を組織全体で共有できます。組織内でノウハウを浸透させると、以下の利点があります。
各担当者が蓄積した知識や経験をSFA上で記録し、他のメンバーが活用すると、組織全体のスキル向上を図れます。さらに、ナレッジが共有されることで担当者間のスキルの差がなくなり、一定のプロセスに沿った業務につなげられるでしょう。
ノウハウを組織全体へ浸透させられると、営業力が底上げされ、全員が高い成果を目指せる環境が整います。
SFAを使うと、目標設定と進捗管理がより簡単かつ効率的になります。目標を設定し、進捗をリアルタイムで確認すると、ゴールに向けた具体的な行動計画を立てやすくなります。
また、データを一元管理していると、各担当者の進捗状況やチーム全体の成果を一目で把握できるため、問題が発生した際にも迅速な対応が可能です。
可視化されたデータにもとづいて適切な判断を下せるため、目標達成率を大幅に向上させられます。
SFAを用いて行動管理・プロセス管理する方法は以下の通りです。
SFAを活用すると、より生産的な営業体制の構築や数値アップに貢献できます。順番に紹介します。
まずは、現状の業務プロセスを詳細に分解し、改善の余地がある部分を明確にしましょう。「商談数の改善」を例に挙げると、商談までのプロセスを以下のように段階ごとに分解し、それぞれのデータを分析します。
SFAに蓄積された商談データをもとに、商談数が減少している手順を特定します。そうすると「初回アプローチ後の商談確定率が低い」といった課題を可視化できます。
課題を可視化すると、改善すべきプロセスが明確になるのです。
>>SFAでのデータ分析が効果的?分析時のポイントまで解説!
可視化したデータをもとに具体的なKPIを設定し、数字を達成するためのタスクをリスト化します。具体的な流れは以下の通りです。
流れ | 概要 | 具体例 |
KPIを設定 | 達成目標を数値化する | 月間商談数20%向上 |
タスクを洗い出す | KPIを達成するために必要な具体的な行動をリスト化する | ・新規リードのリストを作成・アプローチリストを元に営業電話を実施・提案書のテンプレートを作成 |
タスクを優先順位化 | 重要度と緊急性を考慮し、実行の優先順位決めする | 1. 新規リード作成2. 営業電話実施3. 提案書テンプレート作成 |
スケジュールを作成 | タスクを具体的なスケジュールに落とし込む | ・毎週月曜にリードリスト作成・毎日10件の営業電話を実施・提案書テンプレートは月初に作成 |
タスクをSFA上で管理し、進捗を追跡すると効率的な行動計画を実現できます。
部署・チーム間で情報を共有し、迅速かつ効果的な行動を行うと、スムーズな連携が可能です。具体的なアクションプランは以下の通りです。
項目 | 内容 | 具体例 |
情報伝達の効率化 | 部署間でのリード情報や商談進捗をリアルタイムで共有し、作業の重複や情報漏れを防ぐ | ・マーケティング部が獲得したリード情報を営業部が即座に確認し、対応を開始できる体制を構築する・SFAを活用して、各部署が最新データにアクセス可能にする |
ミーティングや報告の重要性 | 定期的なチームミーティングや進捗報告を行い、各担当者の課題や改善点を共有する | ・週次ミーティングで担当者ごとの進捗状況を確認し、ボトルネックを特定する・月次報告で成果を可視化し、全体での改善策を話し合う |
データ情報を活用したり、定期的なミーティングを行ったりすることで、組織内での情報を浸透させやすくなります。業務遂行体制の見直しも必要なため、SFA導入時は並行して内部の動きも確認しておきましょう。
PDCAサイクルは「Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)」の4つのステップを繰り返し行うことで、業務やプロジェクトを継続的に改善するための管理手法です。具体的には以下の通りです。
ステップ | 内容 | 具体例 |
計画(Plan) | 課題を明確にし、具体的な改善計画を立てる | ターゲットリストの精度を高めるためのデータ分析を実施する |
実行(Do) | 計画にもとづいてアクションを実行する | 改善したスクリプトや営業トークを用いて顧客アプローチを実施する |
評価(Check) | 実行結果をSFAでデータとして分析し、効果を測定する | 商談数や成約率の変化をSFAで確認し、成果を可視化する |
改善(Act) | 評価結果をもとに、さらに効果的な施策を考え実行する | 評価データから課題を抽出し、新たな改善策(例:フォローアップ頻度の調整)を設定して実行する |
PDCAサイクルを繰り返すと、組織全体の業務効率と成果を継続的に向上させられます。
SFA運用時は、PDCAを意識して行動管理・プロセス管理をしていきましょう。
>>SFAでPDCAサイクルを回すには?階層別のコツとおすすめツール
SFAで行動管理・プロセス管理する際にとくに役立つ4つの機能を紹介します。
どの機能も効率的に営業活動を行う際のあらゆる場面で役に立ちます。順番に紹介するので理解を深めておきましょう。
>>SFAの基本機能|7つの機能から導入成功のコツまで徹底解説
スケジュール管理機能は、営業活動を効率化し、業務の抜け漏れを防ぐために有用なツールです。個人のタスクや商談日程を一元管理できるだけでなく、チーム内でスケジュールを共有することで連携を強化できます。
フォローアップや提案書提出など、重要なタスクにリマインダー機能を設定することで、対応漏れを防げます。加えて、外部カレンダー(GoogleカレンダーやOutlook)との連携により、スケジュールを一元化し、スマートフォンからも確認可能です。
地理情報を活用した移動時間の最適化や、月間の商談件数・アポイント数を分析するレポート機能も搭載されており、時間管理や作業効率の向上に貢献するでしょう。
案件管理機能では、商談や案件の進捗状況を一元管理することで、営業プロセス全体を可視化できます。各案件のステータスをリアルタイムで把握でき、適切なアクションを迅速に計画できるでしょう。
また、過去の商談履歴を参照すると、成功パターンや課題のあるパターンを分析し、次回の商談に活かすことが可能です。
成約率が高かった提案内容やタイミングをもとにアプローチ方法を構築すると、案件ごとの進捗管理が効率化され、成約率の向上につながるでしょう。
行動管理機能では、営業担当者一人ひとりの行動を記録し、管理できます。誰がどの顧客に何を提案し、どのような結果を得たのかを詳細に把握できるため、個々の営業活動の評価が可能です。
また、成功している営業担当者の行動パターンを分析し、それを全員に共有することで、チーム全体のスキル向上を目指せます。
さらに、行動記録をもとにしたデータ分析により、効果的な営業活動のモデルを構築でき、チーム全体の成果を最大化します。
ファネル分析機能を活用すると、営業プロセスの各段階(例:リード→アポイント→商談→成約)におけるデータを詳細に分析し、転換率を可視化できます。この機能を使えば、顧客が離脱しているフェーズを明確にし、ボトルネックを特定できるのです。
たとえば、アポイントから商談への進展率が低い場合、その原因を分析し、アプローチ手法を改善することで成約率を向上させる施策を実行できます。データドリブンな営業活動が可能となり、プロセス全体の改善を支援します。
SFAを活用して行動管理・プロセス管理を行う際には、以下の3点に注意が必要です。
順番に解説します。
SFAには多くの機能が搭載されていますが、すべてを一度に活用しようとすると現場に負担がかかり、運用が滞る原因になります。そのため、以下のように現場が直面している具体的な課題にフォーカスした機能を優先的に活用しましょう。
現場がツールをスムーズに使いはじめられる環境を整えると、導入初期の抵抗感を軽減し、スムーズに運用開始を進められます。
SFAの運用を成功させるためには、現場の声を継続的に反映することが重要です。現場の担当者が感じている課題や、使いにくい機能などを定期的にヒアリングし、運用方法やツール設定に反映します。
フィードバックを収集する方法は以下の通りです。
たとえば、現場の営業担当者が「入力項目が多すぎる」と感じている場合、入力項目を見直し、必要最低限に絞ると現場負担を減らせます。現場から得たフィードバックをもとに実務面へ反映していきましょう。
SFA導入の成功率を高めるためには、いきなり全社導入を行うのではなく、小規模なチームや部署でのテスト運用を実施することが効果的です。
たとえば、特定の営業チームでテスト導入を行い、成約率や商談進捗の可視化など具体的な効果を実証してから全社展開を進めることで、スムーズな導入が可能になります。
段階的な導入はリスクを軽減し、確実な成果を得るための効果的な手法となるでしょう。
SFAを活用した行動管理・プロセス管理は、適切な機能選定や現場の声を反映した運用によって効果を最大化できます。導入初期は小規模なテスト運用を行い、成功体験を積み上げることで、現場の抵抗感を抑えながらスムーズな展開が可能です。
注意点を押さえ、SFAを活用して組織全体のパフォーマンス向上を目指しましょう。
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